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近年野良ゆっくりの勢力が拡大してきた。 畑を荒らし食料を貪る野良ゆっくりは もはや山賊と呼ばれていた。 そんな幻想郷のある時代のできごと・・・ ・・・・・・野生のゆっくりが里の畑に忍び込んできた。 地上から、うーぱっくを経て空中から、 数十・・・いや、数百・・・。 繁殖期の後だからなのか、数は限りなく多かった。 「山賊が来たぞー!」 畑の持ち主と思われる男の声を合図に、畑の横の小屋から 十数匹のゆっくりが飛び出した。 小屋から出たゆっくりは、 リボンをつけたれいむ種でも、 金髪帽子のまりさ種でも、 その他のどのゆっくりでもない風貌をしていた。 上部に布をターバンのように巻き、目だけあけて下は また別の布で覆われている。 その風貌はまるで、人間の暗殺者のようだった。 「ゆっ!?」 「むーしゃ!えっ!?」 最も小屋に近かった野良ゆっくりが、 それらの接近を一番早く感じた。 スパッ しかしその瞬間、野良ゆっくりは上半分が宙を舞った。 「ゆ!ゆっくりがなかまをころしたよ!」 「ゆ!どうぞくごろしはわるいゆっくりだよ!」 「むきゅ!わるいゆっくりにはせいさいをくわえないとね!」 仲間がやられたことに気づいたのか野良ゆっくりたちは畑を荒らすのをやめた。 そして布に身を包んだゆっくりたちを攻撃し始めた。 「「「「ゆっくりしね!」」」」 まるで雪崩のように布ゆっくりに殺到する野良ゆっくり。 しかし、布ゆっくりはやられなかった。 むしろ野良ゆっくりが次々と餡子になっていく。 「ゆぎゃああああああああああああああああ」 「なんでええええええええええええええええええ」 野良ゆっくりたちはパニックになった。 大勢で責めれば勝てるはず そういう計画だったのかもしれない。 畑がだんだん餡子のじゅうたんに包まれていく。 「いだいいいいいいいいいいいいいいいいい!ぐぎゅ!」 運良くかすり傷で済んだ者も、痛がってる間に攻撃を食らってしんでいった。 布ゆっくりが強いのにはわけがあった。 ゆっくりとは思えない俊敏な動き。 躊躇せずに攻撃をする集中力。 そして何より、布ゆっくりはナイフを持っていた。 「これが・・・研究の成果ですか・・・。」 「長い研究が実を結び、ようやく夢を果たせた。」 眼下に布ゆっくりによる野良ゆっくりの虐殺を見下ろしながら、 小屋の屋根に立つ人間の男女が話している。 「それにしても、どうやって武器を口にくわえずに 持っているんでしょうか?」 女が言う。 「ゆっくりの餡子に手の役割を持たせたのさ」 「餡子に?」 「そう、研究の結果、ゆっくりの中の餡子は 同じように見えて、実は役割ごとに分かれていた。 人間でいう胃の役割をする餡子。 肝臓の役割の餡子。 脳の役割の餡子。 その中に人工的に作ったゆっくり自身が自由に操れる餡子を注入する。 その餡子は、ゆっくりの意思で形や硬度を変えることが出来る。 それを体から出すことによって、餡子を手のようにして使うゆっくり・・・ 目の前の布づくめのゆっくりが完成したんだ・・・。 お、終わったようだな。」 男がそういったとき、畑に侵入した野良ゆっくりは全滅していた。 「あれ?一人足りないな・・・」 男が言う。 「はっ!にげたさんぞくのいきのこりをおっていきました。 まもなくかえってくるかと・・・。」 布ゆっくりのリーダー格と思われるゆっくりが男に答える。 「すごいですね。 ゆっくり独特のゆったりした口調じゃなく 人間のようにはきはきと喋ってますね。」 「脳の役割の餡子を改造して教育したんだ。 もうこいつらの中でゆっくりな部分は体だけだろう。」 その後、畑の持ち主からお礼の食料を貰い、 畑中の餡子を取り除く薬品を渡して、 男は布ゆっくりと共に畑を後にした。 戦闘用のゆっくりを開発する。 それがこの男のしていた研究だった。 男はかつてゆっくり研究所で 研究のネタを探していた。 そんなある日、ゆっくりを観察するために 森に入った時に男は見た。 ゆっくり界で最強と謳われているドスを 口に刃物をくわえ、俊敏な動きで 一方的に攻撃し、仕留めたゆっくりを。 気づくとそのゆっくりは既に去っていった。 しかしその光景は男の研究意欲をそそるのには十分だった。 それから男による戦闘用ゆっくりの研究が始まった。 初めは武器を持たせたり、 教育を重ねていく方法を取ったが 最後は本能に負けゆっくりしたあげく 教えたことを忘れたりして中々上手くいかなかった。 そんな中、ゆっくりの餡子の秘密が解明された。 男はすぐさまゆっくりの餡子の改造に着手した。 まずは脳となる餡子に手を加えた。 仮死状態にしたゆっくりの頭部をくりぬき、 脳の部分の餡子だけを摘出した後 砂糖をかけたりシロップを混ぜたりして手を加え 餡子を戻してくりぬいた部分を治療し、 蘇生させて様子を見るという作業を何百回も重ねた。 そうして狂っているゆっくりや植物状態の脳死ゆっくりが出来たりしたが 苦心の末、ゆっくりするという本能を無くしたゆっくりを作ることに成功した。 これによって、教育しだいで無限の可能性を秘めたゆっくりが完成した。 男はゆっくり学会で表彰を受けたが まだ研究は終わっていなかった。 脳改造で戦闘意欲のあるゆっくりは出来るが 攻撃手段が乏しかった。 ゆっくりは手が無いので口で物をくわえる事しかできない。 それでは扱える武器などたかが知れている。 義手をつけるという案もあったが 重さゆえ耐え切れるゆっくりはおらず、 義手の重みで皆潰れていった。 悩んだ末、男は餡子に着目した。 内臓となり脳となるゆっくりの餡子。 それならば手の役割の餡子を加えれば、と。 餡子の開発は容易なことではない。 加える物質の分量が1mg違うだけで 大きく変化するのだ。 男は一年かけてゆっくりが自由に操ることの出来る餡子を開発した。 使い方はこうだ。 その餡子を注入した後、 注入に使った穴は閉じずにあけえておく。 こうすれば普段は餡子の手で穴を塞ぎ漏れることは無い。 武器を持つときは穴から餡子の手を出し、武器を包み固める。 後は餡子の手をぐりぐりと回せば武器を振れる。 その研究が完成した頃には、もう研究所は潰れ、 野良ゆっくりの襲撃でいくつかの里が消え、 多くの犠牲者が出ていた。 男は研究の成果である十数匹のゆっくりアサシンをつれ、 各地でゆっくりの襲撃を抑え、その報酬で生計を立てた。 「そろそろ、野良を殲滅するかな・・・。」 男がつぶやく。 「さとのちかくにすをかまえているさんぞくのみにしましょう ぜんぶころすとせいたいけいにえいきょうがあるかと・・・」 隊長ゆっくりが言う。 そんな会話をしながら、野良ゆっくりの巣のある方向へ足を進めていた。 ---------------------- 続く・・・かも ---------------------- 後書き 虐待ですらない研究日誌だこれ 初めて書いたのがこれでは先が思いやられますね ゆっくりアサシン~お兄さん遊び編 このSSに感想を付ける
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アリスが外出から戻ってくると、なにやら家が騒がしかった。 「ゆっくりしていってね!!」 「おねえさんはゆっくりできるひと?」 「ここはれいむたちのおうちだからゆっくりでていってね!」 そこにいたのは1体のゆっくり魔理沙と数体のゆっくり霊夢であった。 どうやらドアの隙間から入ってきてしまったらしい。 部屋を見回してみると、大きく荒らされていた。 「――上海、蓬莱。こいつらを全部捕まえなさい」 その直後、人形たちがゆっくりたちに襲い掛かった。 「なにするの! ゆっくりやめてね!」 「シャンハーイ」 「ゆっくりはなしてね!」 「ホラーイ」 「ゆっ、ゆっー!」 次々と捕まり、非難の声を上げるゆっくりたち。 程なくして全てのゆっくりたちは檻の中へと捕まった。 「さて、どうしようかしら」 アリスはまるで感情のこもっていない目で檻の中を見つめた。 すぐにでも全員潰すことさえ厭わない目だ。 そうしていたら、1体の黒い帽子をかぶったゆっくりが訴えた。 「まりさはわるくないよっ! はいろうっていったのはれいむたちだよ!」 「「「「「ゆ゛っ!?」」」」」 「だからはやくゆっくりだしてね!」 ゆっくり魔理沙は、生き残るために簡単に仲間を売る。 話には聞いていたアリスだが、あまりの変り身の早さに少々驚いた。 「そう。だったらあなたは、助けてあげようかしら」 そう言ってアリスはゆっくり魔理沙を檻から出してあげた。 嬉しさのあまり、飛び跳ねるゆっくり魔理沙。 「おねえさん、ありがとう!」 そう言うが否や、ゆっくり魔理沙は素早く開いているドアから出て行った。 ゆっくり霊夢たちに、 「ゆっくりしんでね!」 と、言い残して。 翌日、ゆっくり魔理沙は昨日の事をすっかり忘れてゆっくりしようとしていた。 遠くに見えるのはゆっくり霊夢の家族。 「ゆっくりしていってね!」 今日もたくさん遊んでゆっくりしよう。 そう考えながら近づいていくゆっくり魔理沙。 だが、ゆっくり霊夢たちはゆっくり魔理沙の姿をちょっとの間見つめると、全員で体当たりを仕掛けてきた。 「ゆっ、いたいよゆっくりやめてね?」 最初はふざけているのかと思った。 しかし、一向にみんなやめる気配が無い。 それどころか、徐々に激しくぶつかられているようだった。 「ゆっ、ゅゅっ、どうしてそんなことするの?」 そう言うとゆっくり霊夢たちは口々にこう答えた。 「なかまをみすてるまりさとはゆっくりできないよ!!」 「うらぎりものはともだちなんかじゃないよ!!」 「ゆっくりあっちいってね!!」 「ゆっくりちね!」 「まりさはそんなことしないよ! まりさはいいこだよ!!」 「うそをつくまりさはわるいこだよ!」 「ゆっくりできないよ!」 「ほうっておいてわたしたちだけでゆっくりしようね!!」 罵って去っていく家族たち。 ゆっくり魔理沙はその場に立ち尽くしていた。 追いかければ本当に酷い目にあうことが分かったからだ。 しかし、なぜそんなひどいことを言われたのかは分からなかった。 仕方なく巣にもどってみると、巣の中は荒らされていた。 そこにいたのはたくさんのゆっくり魔理沙。 「ここはまりさのおうちだよ! ゆっくりでていってね!!」 「「「ちがうよ! ここはまりさのおうちだよ! そっちこそでていってね!」」」 追い出されないように抵抗したが、多勢に無勢。 果敢に体当たりを仕掛けるが、逆に大量のゆっくり魔理沙につぶされそうになってしまう。 とうとう巣から叩き出されてしまった。 「どぉ゛じでごんなごどずるの゛ぉぉぉぉぉぉ」 「「「ゆっくりのたれじんでね!!」」」 叩き出されたゆっくり魔理沙は、どこか遠くへ行くことにした。 きっとそこならゆっくりできると信じて。 しかしどこへ行っても、 「うらぎりもののまりさがいるんだって」 「おお、こわいこわい」 「ゆっくりしね、わかるよー」 「でていけちーんぽ」 「うーうー」 追い立てられてしまった。 「ゆっぐり゛でぎな゛いよぉお゛ぉぉぉぉぉぉ」 1週間後。 ゆっくり魔理沙はもうずっとゆっくりできていない。 身も心もボロボロになりながら、今日も食料を求めてよろよろと進んでいた。 そのとき後ろから、 「ゆっくりとばされてね!!!」 完全な不意打ちで勢いよく吹っ飛ぶゆっくり魔理沙。 力なくその方向を見てみると、ゆっくり霊夢たちがいた。 その姿を見てゆっくり魔理沙は思い出した。 そして無事なのを見て、 「みんなぶじだったんだね! よかったゆっくりしようね!!」 嬉しそうに駆け寄った。 自分が見捨てた相手だということさえも忘れて。 だから、言われた言葉に本当に驚いた。 「わたしたちをうらぎったまりさなんていなくなっちゃえ!」 「ゆっくりここからでていってね!!」 「もうみんなにつたえたから、どこでもゆっくりできないよ!!」 「もうずっとゆっくりできないよ!!」 「ゆっくりでていけ!!」 何を言っているのか良く分からなかったが、分かったことが1つだけあった。 自分がゆっくりできないのは、全てこのゆっくり霊夢たちのせいなのだと。 「ゆ、ゆ…こんなひどいことをするそっちこそでていってね!」 「「「「「ゆっくりしね!!」」」」」 口だけは一人前であったが、この数とこの状態で勝てるはずも無い。 全員に囲まれて、あっさりと袋叩きにされてしまった。 「ゆっ、やめでえ゛え゛ぇぇゆっぐり゛ざぜでえ゛ええぇ」 「「「「「ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね!」」」」」 「い゛だい゛い゛だい゛よ゛ぉぉぉお゛ぉ」 ひとしきり痛めつけた後、恨み言を言って去っていくゆっくり霊夢たち。 幸か不幸か、ゆっくり魔理沙は生きていた。 もっとも、生きているのか死んでいるのか分からないくらいであったが。 ゆっくり…したい。 そして気を失いかけていたゆっくり魔理沙の前に、1つの大きな影が見えた。 「どうしたの、そんなにボロボロで」 ゆっくり魔理沙はその影を見上げた。 そこには、あの時自分たちをつかまえて自分を逃がしてくれた者の姿が見えた。 「とりあえず、うちに来てゆっくりしない?」 「ゆ゛…ゆ゛っぐりじだい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」 「何があったのかは知らないけど、そんなに泣かないの。さ、行きましょ」 「ゆ゛っく゛り゛ぃ゛ぃぃぃぃ」 もう2度とできないと思っていたゆっくりをさせてくれる。 ゆっくり魔理沙は力いっぱいアリスに泣きついた。 (ふふ、こんなに上手くいくとは思わなかったわ) アリスは胸の中で微笑んだ。 全ては1週間前からアリスが仕組んだことだった。 わざとドアに隙間を残しておき、入ってきたゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢を捕まえる。 ゆっくり魔理沙が仲間を裏切ったらスタートだ。 「いや゛ぁ゛ぁぁぁぁだずげでぇぇぇ」 「わ゛だじだじもゆっぐりざぜでぇぇぇ」 ゆっくり魔理沙を逃がした後の檻の中は、パニック状態だった。 アリスは優しい顔をしてこう答える。 「大丈夫よ、あなたたちも逃がしてあげるわ。でも、1つお願いがあるの」 「ゆっ…? ゆっくりなんでもするよ! だからたすけて!」 「そう、じゃあ――」 アリスのお願いはこうだ。 ここから出た後に、今逃げていったゆっくり魔理沙がひどいヤツだということを他の全てのゆっくりに伝えてほしいと。 そして、追い出してほしいと。 最初は戸惑ったゆっくり霊夢たちだったが、 「あなたたちを売って逃げちゃったのよねぇ、酷いと思わない?」 「あなたたちは何も悪くないのにね」 「そんな悪い子に仕返しをしてやりたいと思わない?」 というと、反対する者はいなくなった。 アリスはゆっくり魔理沙を自分のものにしたかった。 それも無理やりでなく、相手から自分の方を向くように。 力で押さえつけても心から懐きはしない。 エサを与えたところでエサ役として認識されるだけ。 だからアリスはこの方法を取った。 他のゆっくりたちから追い出させ、自分だけを頼りにするように。 事実、ゆっくり魔理沙にはもう心のよりどころがどこにもなかった。 そんな中で現れた、ゆっくりさせてくれるアリスはまさに希望だった。 これから、外に出ようともせず自分だけを見ていてくれるだろう。 (色々揃えておいたのよ、この日の為に…) これからこのゆっくり魔理沙とどんな生活を送ろう。 アリスの心はどこまでも躍って仕方がなかった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5460.html
注意 初心者です 下手です 短いです 嫌だと言う人は読まないほうがいいと思います ここは幻想郷の人里。いつも通りの時間が流れていた。 そんなとき、「ゆっ ここが人間さんの里だね!!!!」 そんな声が響いた。その声にいち早く反応したのが博麗の巫女、博麗霊夢である。「ついに人里にもやって来るのねあいつら」 ドス「この里の1番…以下略」 霊夢「契約はお断りよ」 ドス「あんなけいやくじゃないよ!」 霊夢「はあ…どんな契約?」 ドス「ドスたちは人間の畑に近づかないからその代わりドスたちのくじょをしないでね! けいやくしないならドススパークを撃つよ!」 これには見ていた里の人間も野次を飛ばす 周り人「「それじゃ対して変わらないだろ!」」 霊夢「契約は駄目よ。かえって頂戴」 ドス「分かったよ…みんな出てきてね!!!」 ドスーンドスーン 大きな音が響く。山の奥から5体のドスと大量のゆっくりが出てきた。 霊夢「こんなにいるの!?」 ドス「「「「「これでもけいやくしない?」」」」」 霊夢「…少し相談させて頂戴」 ドス「「「「「いいよ!」」」」」 ある民家の中で霊夢は人と相談していた。 霊夢「契約するわ。」 人A(以下A)「巫女様、退治しないのですか!?」 霊夢「退治はしようと思うわ。タイミングを見極めるためよ。ドスとはいえ5体もいれば隙がないの。油断させてから退治するわ。」 人B(以下B)「僕も巫女様に賛成です。」 A 「そうするしかないか…」 霊夢が民家から出てきた瞬間5体のドスは怒鳴った ドス1「おそいよ!ドスが優しくてもおそすぎるよ!」 ドス2「けいやくは、どうするの?」 ドス3「待ちくたびれたよ!」 ドス4「まあ、当然けいやくすると思うけどね!」 ドス5「ゆきゃきゃきゃきゃ」 霊夢「…契約するわ」 ドス1「ゆふふふふ。やったのぜ」 霊夢「内容を決めましょう」 その後決まった内容 ゆっくりは畑に近づかない 人間はゆっくりを襲わない 約束を破ったら相手に野菜または山菜を渡す(大量) ドス1「けいやくは守ってもらうのぜ」 ゆっくりたちは去っていった その夜 人間たちはAの家で会議をしていた 霊夢「やっぱり油断する1週間後ぐらいにに巣で退治するのがいいわね」 A 「それまでは我慢するしかないですかね〜」 B 「阿求さんとか大変なんじゃないんですか?」 霊夢「阿求は私がなんとかする。とにかく我慢しましょう」 C (虐待お兄さん)「まじかよ〜」 ゆっくりたちは巣で宴会を行っていた ゆっくりたち「ドスはすごいよ!けいやくを結んじゃったよ!」 ドス1「ゆふふふふもっと褒めてもいいのぜ」 ワーワーユーユーキャーキャーユックリー ドス2345「何でセリフが以下略」 〜1週間後〜ゆっくりの巣(特に何もなかった) 霊夢「ここね…門番が寝てる…紅魔館じゃないんだから」 「霊符 夢想封印」 ズドーンユンヤー ドス1「何なの!」 れいむ「あのおねえさんがいりぐちをこわしたんだよ!」 ドス2「けいやくしたのに?許さないよ!」 ドス3「ドスが行ってくるよ!」 ドス45「「みんなを集めるよ!」」 ドス1「ドス(2)もみんなを集めてね!ドス(自分)も 行ってくるよ!」 ドス3「おねえさん!どういうことなの!!」 霊夢「契約する気は元々無かったの。退治するつもりだったのよ。」 ドス3「おねえさん……」 ドス3「ゆっくり死んでね!ドススパーク!」 だが霊夢に結界で防がれてしまう。 霊夢「やっぱり弱いわね、夢想封印 散!」 ドス3「ゆっぎゃあああああああ」 ドス3は全身に弾幕を浴び、永遠にゆっくりした。 「何てことしてくれたの!」 ドス1が怒鳴った。 霊夢「貴方もよ。さようなら」ズダダダ 「ゆぎゃああああああぁぁぁ…」 霊夢「さて、中に入りましょう」 ドス245「どうしてこんなことするのおねえさん!」 「契約したでしょ!?」 霊夢「契約に一時的にでも乗ってあげただけいいと思いなさい」 「封魔陣!」 「ゆぎゃああああああ」「もっとゆっくりしたかったよ」ドスとドスの後ろにいたゆっくりの悲鳴が響いた 霊夢「これで終わりね」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書きましたがどうでしたか? ほんとに適当に書いたので最後まで読んでくれた人には感謝です。ありがとうございます。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/127.html
ゆっくりという種族が幻想郷に突如蔓延して、どのくらい経っただろうか。 畑を荒らす害獣として駆除されたり、加工所というところでお菓子にされたりするくらいには、既に浸透していると思う。 中には俺のように、ペットして飼うものも少なからず存在していた。 「今帰ったぞ~」 「ゆっ!」 仕事が終わり、帰宅して扉を空けると、部屋の真ん中に鎮座していた生首が声を上げて駆け寄ってきた。 赤いリボンが特徴的な、ゆっくり種の中でも一番数が多いとされるゆっくり霊夢だ。 博麗の巫女によく似た顔で(と言うと、霊夢さんは怒るかもしれないが)、性格は基本的に温和で純粋無垢。 それ故にトラブルを起こすことも多々あるのだが……まぁ、その話はもうちょっと後で。 「ゆっくりしていってね!」 仕事で疲れてる俺に対する労いの言葉――ではなく、単にこいつらの口癖なのだが、兎にも角にも癒される。 可愛いなぁ、くそ。 俺の友人たちはよくこいつを買って食べているが、正直薄目に見れば人の顔そのものであるこいつらによく噛み付けるものだ。 しかも食う時に痛々しい叫び声上げるんだぜ? 悲痛すぎて言葉が出ない。 友人曰く、「お前もその内分かるようになる」らしいんだが……そういう日が来ないことを願う。 「待ってな、今晩飯作るから」 「ゆっくり待ってるね!」 ぴょんぴょん飛び跳ねて晩飯を心待ちにしていることをアピールするゆっくり霊夢。 うぅん、ぷりちー。 気持ち悪がる人もいるが、俺にとっては可愛いペットだ。 晩飯を食べ終わると、読書タイムとなる。 最近友人になったパチュリーさんから借りた本を読みながら、まったりとした時間を過ごす。 ゆっくり霊夢は何をするでもなくぼーっと、たまにぴょんぴょん部屋を飛び跳ねて、「ゆっくりしてるね!」と言っていた。 ゆっくりの声には癒し効果でもあるのか、意識を阻害されることなく読書に集中出来る。 やがて切りのいいところで本を片付け、ゆっくり霊夢と遊ぶことにした。 「ほら、取って来い!」 「ゆ! ゆ!」 フリスビーを家の壁に穴を開けない程度に軽く投げ、ゆっくり霊夢に取って来させる。 ゆっくり種はその口癖と名前から勘違いされがちだが、飛び跳ねたり、野原を駆け回ったりと意外とアクティブな存在だ。 だから運動不足にならないよう、こうして遊んであげる必要がある。 俺が仕事に行ってる間に外に出してもいいんだが、もし野生のゆっくりアリスやゆっくりれみりゃと遭遇したときのことを考えると……駄目だ、放し飼いは認められない。 「取ってきたよ!」 口にフリスビーを加えたゆっくり霊夢が戻ってくる。 「おう、偉い偉い」 ゆっくり霊夢の頭を撫でてやると、ゆっくり霊夢は嬉しそうな顔をした。 その顔を見ていると、こっちの頬まで緩んでくる。 ……それと同時に、ある感覚が心の内より現れた。 「っ……」 「?」 不思議そうにこっちを見つめるゆっくり霊夢になんでもない、と首を振り、もう一度フリスビーを投げる。 せっせと追いかけるゆっくり霊夢を見つめながら、湧き上がる感情に戸惑いを覚える。 ――ゆっくり霊夢をいじめたい。 別に虐待をしたいわけではない。可愛いペットにそんな真似をしたくはない。 しかし、こう、なんというか……ううん、説明出来ない。 「ゆっくり取ってきたよ!」 再び戻って来るゆっくり霊夢。 俺は心のもやもやを打ち払うようにゆっくり霊夢の頭を撫で、そして振動させた。 「ゆっ!?」 小刻みにバイブレーション。 最初は驚いて逃げようとしたゆっくり霊夢の顔が、少しずつ赤らんでくる。 「ゆゆゆ、ゆー!! ゆー!!!」 甲高い声。時間の経過と共に、ゆっくり霊夢はどんどん発情していく。 荒んだ心を癒してくれる礼として、こうしてゆっくり霊夢に快感を与えてあげることは毎日の日課だった。 「……」 だが、今日の俺はなんとなく、手を止めてしまった。 中途半端なところで快感をストップされたゆっくり霊夢は慌てたように俺の手に擦り寄って、 「ゆ、ゆっくりして! もっとゆっくりしていって!」 潤んだ瞳で俺を見上げるゆっくり霊夢。 その視線を浴びて、 「……!」 何故か身体がゾクゾクする。 もっと見たい。 もっとこの目で見つめられたい。 「ゆー!!! ゆー!!! ゆー!!!」 だが、それと同時に可哀想だという感情も浮かび上がってくる。 俺は手をもう一度律動させ、ゆっくり霊夢を絶頂へと導いてやった。 未知の感覚に戸惑いながら、一週間が経過した。 臨時教師として慧音さんの手伝いをした俺は彼女と彼女の友人である妹紅さんと一緒にまったりとお茶を飲みながら歓談し、上機嫌だった。 「おーう、今帰ったぞー!」 扉を開ける。 ――瞬間、先程までの高揚した気分が嘘のように蒸発した。 俺はゆっくり霊夢に、家の中はどこをうろついてもいいから絶対に机の上には乗るなと言い聞かせてあった。 机の上には俺の大事なものがたくさん置いてある。 ゆっくり霊夢はそのことを理解したかどうかは知らないが、厳しく言っておいたので飼い始めてから三ヶ月、ずっと机の上に乗ることはなかった。 だが。 帰宅した俺を待ち受けていたのは机の上に鎮座してゆっくりと眠っているゆっくり霊夢の姿だった。 「……」 俺は机に近寄って、その惨状を目撃した。 綺麗に整頓されていた机の上は見事に荒らされ、物体のほとんどが破壊されていた。 アリスさんがくれた人形も、 妖夢ちゃんが作ってくれた剣神像も、 てゐから珍しく受け取った四葉のクローバーも、 幽香さんから頂戴した花も、 にとりさんと協力して発明したトランシーバーの試作機も、 みんなみんな、見るも無残に破壊され尽くされていた。 「……」 俺はどろどろとした心のまま、ゆっくり霊夢を起こした。 「ゆ……?」 とろんとした目を開け、俺が目の前に立っているのを認識するや否や、 「ゆっくりお帰りなさい!」 いつもの挨拶。 だが、俺の心はいつものように癒されはしない。 「なぁ、ゆっくり霊夢」 「どうしたの?」 「お前、なんで、机の上に乗ってるんだ……?」 「……ゆ!?」 俺の怒りのオーラを感じ取り、ようやく約束を思い出したのか、ゆっくり霊夢は慌てたように頭を下げた。 「ご、ご、ごめんなさいだよ!」 「謝るのは後でいい、理由を説明しろ」 「あのね、蝶々がね……」 ゆっくり霊夢が言うことには昼頃、窓の隙間から現れた蝶々を捕まえようと四苦八苦し、ようやく机の上で捕まえて食べ、そのまま眠ってしまったらしい。 あまりにも夢中で、俺との約束など「うっかり」忘れてしまっていたようだった。 うっかり。 それだけの理由で、俺の大切なものは破壊され、二度と元には戻らない。 俺はゆっくり霊夢を叩こうと腕を振り上げ、 「ゆーっ!!!」 目を閉じ、ぶるぶると震える姿を見て、静かに下ろした。 とんでもないことをしたとはいえ、三ヶ月間ずっと一緒に暮らしてきたペットだ。 暴力を振るうことは、俺には出来ない。 溜息をつき、ゆっくり霊夢を持ち上げ、そっと床に降ろした。 「ゆ……?」 「晩御飯にしようか」 ぱぁ、とゆっくり霊夢の顔が明るくなった。 「ゆっくり用意してね!」 先程の殊勝さが嘘のように、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを露にする。 「ふぅ……」 甘いな。 まったく甘い。 俺は、許してやるなんて一言も言ってない。 その日から、俺は帰りにある場所へ寄るようになった。 必然的に帰りは遅くなり、ゆっくり霊夢と遊ぶ時間はなくなる。 更に意識して朝飯と晩飯の量を減らしたので、ゆっくり霊夢は少しずつ文句を言うようになった。 「早く帰ってきてね!」 「たくさん遊んでね!」 「もっと食べたい!」 だが、俺はその声を悉く無視した。 少し胸は痛んだが、それでもこいつにはやったことの重大さを分からせてやらねばならない。 でないと、俺の怒りが収まらない。 俺のただならぬ様子を見かねた鈴仙さんから貰った精神鎮静剤を飲みながら、俺は準備が整うのを待った。 そして――三日後。 全ての準備は整ったのだった。 ゆっくり霊夢はまどろみの中にいた。 最近は自分の主人があまりゆっくりしてくれなくなり、寂しい思いをしていた。 だが昨日の夜、寝る前に彼は言ってくれたのだ。 「ここのところ、遊んでやれなくてすまなかったな」 「一週間の休暇を取ってきたから、ずっとゆっくり過ごそう」 「ご飯も今まで少なかったけど、豪華にするぞ」 「さ、今日は一緒の布団で寝ようか」 感激したゆっくり霊夢は、わくわくした気持ちのまま眠りに付いた。 一週間も、優しい主人とゆっくり出来る! だから、早く起きないと。 ゆっくり霊夢は寝返りを打とうとして――打てない。 「……?」 身体が動かない。 自分は今だ夢の中にいるのだろうか? なんだか息苦しい…… ゆっくり霊夢は静かに目を開いた。 「……!?」 そして映った光景に飛び上が――ることが出来ず、身体を震わせた。 自分の身体は、四角い箱の中に閉じ込められていた。 『んん゛っん゛ん゛ん゛ん゛……んん゛!?』 ゆっくりしていってね! 種族反射的にそう言おうとして、言えなかった。 自分の口に猿轡が噛まされており、更にその上からガムテープを貼られている。 周りは暗い。しかし自分の視点の場所だけ小さく四角い穴が開けられており、そこから外の様子が映し出されている。 そこには―― 「すぅ……すぅ……」 「ゆ……ゆっく……」 布団で眠っている、見慣れた主人と、ゆっくり霊夢の姿があった。 『ゆ!? ゆゆゆ!!?」』 混乱して喚くゆっくり霊夢、突然の事態に理解が追いつかない。 何故自分はこんなところにいる? 主人と一緒に眠っているゆっくり霊夢は何者だ? 「うぅん……」 と、その時。 主人が眠りから目を覚まし、起き上がった。 目をこすり、横で一緒に眠っていたゆっくり霊夢を見て―― ――惚れ惚れするような太陽の笑顔で、 「ほら、起きろゆっくり霊夢、いい朝だぞ」 『ちがうよ! そいつは偽者だよ!!!』 叫びたい。 しかし、その声は届かない。 やがて偽者のゆっくり霊夢が目を開き、開口一番、 「ゆっくりしていってね!」 「おう、ゆっくり朝飯にするか。昨日の約束通り豪華にいくぞ」 「ゆっくり作ってね!」 『待って! 気付いて!!!』 ゆっくり霊夢は泣きながら、自分と偽者が入れ替わっていることに気付いてくれと願う。 だが無情にも、主人はふんふんと鼻息を歌いながら台所に向かっていった。 『あ゛あ゛っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!』 絶望が心を支配する。 だが、気付いていないのはゆっくり霊夢のほうだった。 これはまだ、始まりにすぎないのだと。 (見ているか、ゆっくり霊夢?) 俺は料理を作りながら、心の中でほくそ笑んだ。 一緒にいたのが偽者だということくらい、先刻承知している。 何故なら二人のゆっくり霊夢を入れ替えたのも、本物のゆっくり霊夢を閉じ込めたのも、全部俺だからだ。 (それがお前への制裁だ。ゆっくり楽しんでくれ) ぞくぞくするような背徳感を感じながら、意識して本物のゆっくり霊夢が閉じ込められている箱を見ないように努める。 ゆっくり霊夢は現在、透明の四角い箱に入れられ、更にその四方と天井をダンボールの壁で一枚一枚覆っている。 そんな面倒なことしなくてもそのままダンボールを被せればいいじゃないか、と思う奴もいるかもしれないが、まぁこれにはちゃんとした理由がある。 その理由は後ほど語るとして、偽者のほうを説明しておこう。 こっちのゆっくり霊夢は三日前、ゆっくり加工所に行って手に入れたゆっくりだ。 所員に事情を説明し、余っている預かり部屋を利用して仲良くなった。 こいつには一週間、俺の家で一緒に暮らせると伝えてある。 何か変なことを言い出さないかだけ少し心配だったが、流石ゆっくり、あまり深くは考えない性質のようだ。 俺は今から、この偽者ゆっくり霊夢を最大限にもてなす。 そしてその様子を、本物のゆっくり霊夢に見せ付けるのだ。 本来なら自分が得られたはずの待遇が、突然現れた自分の偽者に奪われる。 しかもその様子をまざまざと見せ付けられ、自分は食べることも、遊ぶことも許されない。 お仕置きとして、これ以上のものはそうそうないだろう。 さぁ、ゆっくり霊夢。 お前がどれだけのことをしでかしたのか、分かってくれよ? 『う゛わ゛あ゛あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』 ゆっくり霊夢は絶望の淵にいた。 どれだけ暴れても、どれだけ祈っても、自分の置かれている状況はこれっぽっちも変化しない。 朝食は豪華な豚カツだった。自分は何も食べていない。 昼飯までの間、二人はゆっくり過ごしていた。自分はきつい箱の中で息苦しかった。 昼飯は二人でどこかに出かけていた。孤独感が自分を押し潰すようだった。 夕食まで、二人はずっと遊んでいた。自分はただ身体が痒いのを我慢しているだけだった。 夕食は今まで食べてきた中で一番美味しかったお寿司だった。でも、やはり自分は食べられなかった。 そして、 「ゆー……ゆゆゆゆゆ……」 偽者のゆっくり霊夢は現在、主人の手によって振動を与えられていた。 「どうだ? ゆっくりしてるか?」 「ゆ……ゆっくりぃ……してるよぉ……♪」 『ゆっくりしてない!!! れいむは全然ゆっくりしてないよぉ!!!』 ゆっくり霊夢は快感を与えられている偽者の姿を滝の涙を流して見ていた。 滂沱のごとく流れ出る溢れ出る涙。何故、自分がこんな仕打ちを受けないといけないのか? ゆっくり霊夢の頭の中に、既に約束を破ったことは残っていない。 「んほおおおおおおおおおお!」 偽者ゆっくり霊夢が絶頂を迎えた嬌声を聞きながら、本物ゆっくり霊夢はこれがいつまで続くのだろうと考えていた。 それから太陽が昇り、また沈み、そして再び昇った三日目の朝。 空腹で朦朧とした意識を抱えながら、ゆっくり霊夢をうっすらと目を開いた。 映る光景は変わらず、静かに眠る主人と、そして主人の腕を枕に眠る偽者。 ようやく暴れたり叫んだりして体力を消費することが愚かだと気付いたゆっくり霊夢は、呆とした意識のまま、事態が変わることを待っていた。 がさ……がさ…… (……?) ふと気付く。壁の右側から何か音がする。 一体何だろうか? 確かめようにも、壁があって何も見えない。 やがて偽者ゆっくり霊夢が起き出し、ぴょんぴょん飛び跳ねて主人を起こす。 「ゆっくり起きてね!」 「む……もう朝か……」 ふわぁ、と欠伸をする主人。まだ眠り足りないようだった。 「ゆっくりご飯作ってね!」 「おう……だけどその前に」 「ゆ?」 「待ってる間暇だろ? いい遊び道具があるんだ」 そう言って。 主人はゆっくりと、自分の方向へ近寄ってきた。 『!!!』 これは千載一遇のチャンスかもしれない。 ゆっくり霊夢はありったけの力で出来る限り身体を震わせ、自分がここにいることをアピールする。 『れいむはここだよ! ゆっくり探してね!』 やがて映るのは主人の足のドアップ。そして、頭上から声。 「えーと、これだこれだ」 得心したような声。 同時に、ゆっくり霊夢の右側の闇が、突如として払われた。 『……!?』 どうやら、右側の壁が取っ払られたらしい。 もしかしたら脱出の糸口になるかもと、ゆっくり霊夢は明るくなった右側を、 見た。 「――――――ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!?」 声にならない悲鳴。 閉じ込められたときよりも大きい、今までで一番の驚愕。 「ほら、蛙さんの人形だぞ」「ゆっくり楽しむね!」という主人たちの声も聞こえない。 何故なら。 そこにいたのは。 『うー♪』 『だずけ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!』 自分と同じく箱詰めにされ、自分と同じゆっくり霊夢を食べている途中の、ゆっくりれみりゃの姿だった。 (気付いたかな……) 俺は朝食の準備に取り掛かりながら、昨夜のことを思い出していた。 ゆっくり霊夢の起床・睡眠時間は、永淋さんに頼んで作ってもらった気体状睡眠薬で周到に設定してある。 それをゆっくり霊夢の死角から呼吸用に空けておいた穴に流し込んで、眠気を調節するのだ。 だからゆっくり霊夢が起きる前に俺は起床し、加工所で買ったゆっくりれみりゃを入れた透明の箱を隣にセット。 同じく加工所で購入したゆっくり霊夢を中に入れ、準備は万端というわけだ。 箱の大きさはゆっくり霊夢に使った二倍、ちゃんと食べられるスペースはある。 ちなみに都合上ゆっくりれみりゃの口は防げないので、こちらの箱は少し値段の張る防音処理だ。 更にその上に右側――いや、ゆっくりれみりゃから見れば左側か、そこだけ空けた箱を被せてある。 偽者のゆっくり霊夢がゆっくりれみりゃに気付いて怯えたりしたら計画が台無しだからな。 そして全てを終えた俺は先程まで眠っていたフリをしていたわけだ。 自分の天敵がすぐ傍にいる恐怖。更にそいつは自分と同じ顔のゆっくりを目の前で食べているのだ。それも、毎日。 それがどれだけの恐怖か、俺には分からない。 俺の都合上、ゆっくりれみりゃは一日一匹のゆっくり霊夢しか食べられないので、かりかりして目の前のゆっくり霊夢をどうにかして食べようと躍起になるだろう。 それが更に、ゆっくり霊夢を襲う辛苦となる。 ゆっくり霊夢はどうするだろうか。 怯えてぶるぶる震えるだろうか。 我を忘れて泣き叫ぶだろうか。 それを想像するだけで、俺は――たまらない高揚感を得る。 あれから何日経過しただろうか。 ゆっくり霊夢には、もう時間の感覚が存在していなかった。 毎日毎日、自分が過ごすはずだった幸福の日々を目の前で見せ付けられる苦痛。 自分を食べようと、いらいらした様子で飛び回っているゆっくりれみりゃの恐怖。 それが何も口にしていない空腹と身動きが取れないことの不快感とごちゃ混ぜになり、混沌と化していた。 『ゆっくり……したい……』 考えることはもはやそれだけ。 些事を考える余裕など、今のゆっくり霊夢にあるはずもなかった。 「美味しかったなぁ、ゆっくり霊夢!」 「ゆっくり美味しかったね!」 ゆっくり霊夢が食べたことのない、ブ厚いステーキを食べ終わって、主人と偽者ゆっくり霊夢は満足した様子だった。 ステーキ。幾度となく食べたいと主人に言い、その度にあしらわれて食べる機会のなかったステーキ。 本来なら自分が食べていたはずの、ステーキ。 ゆっくり霊夢の中に偽者への憎悪が込み上げ、だがすぐに虚脱感に襲われ萎んでしまう。 もう、何をする気にもなれなかった。 右側には未だにゆっくりれみりゃが自分を食べようと、ぱたぱた飛び回っている。 壁がある限り襲ってこないとは分かっていても、本能的な恐怖は拭い去れない。 もう、ゆっくり霊夢の精神はボロボロだった。 「さて、遊ぶか」 「ゆっくり遊んでいってね!」 「そうだ、今日は面白い玩具があるぞ」 「本当!?」 「おう。ちょっと目隠しするぞ、楽しみにしておけ」 「ゆっくりわくわくするね!」 食事の片付けが終わった主人は、偽者ゆっくり霊夢に目を布で縛っていた。 そして、本物ゆっくり霊夢の方向に歩み寄る。 『……!』 主人が自分の方に近付くのは、どれだけ久しいことか。 ゆっくり霊夢の中に、淡い希望が芽生えた。 もう身体を震わせる体力は残っていない。 ただ、主人が自分を見つけてくれることを祈るだけだ。 「えーと、何処だったかな……」 しかし、主人は期待も空しく、ゆっくり霊夢の死角へと移動してしまった。 希望が潰える。しかし、落胆する体力すらない。 自分の左側からがそごそという音。 結構時間がかかっている。 「お、あったぞ!」 ようやく主人が喜びの声を上げた。 と、同時。 いつかのときと同じく、ゆっくり霊夢の左側の壁が取っ払わらわれた。 反射的に、視線がそちらへ泳ぐ。 そして。 また、いた。 『れ、れれ゛い゛むぅぅぅぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛ううぅ゛ぅ゛!!!』 『ゆ゛! ゆ、ゆゆゆゆ゛っく゛り゛し゛て゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!』 発情し、顔は真っ赤にして目を血走らせたゆっくりアリスと。 そのアリスに襲われ、世にも恐ろしい顔で絶叫を上げる同種のゆっくり霊夢の姿があった。 『…………!!!』 世にも恐ろしい光景に、悲鳴を上げることも出来ず、咄嗟に目を逸らすゆっくり霊夢。 だが逸らした先には、 『うー!!!』 空腹で般若の表情をしたゆっくりれみりゃが、自分を食べようと壁をかりかり引っ掻いている。 『……!! …………!!!』 まさに前門の虎、後門の狼。 ゆっくり霊夢はただ、この状況をなんとかしてくれと願いしかない。 やがてゆっくりアリスが交尾を終えると、ゆっくり霊夢は黒く朽ち果てるのと同時に蔦を伸ばし、子供を生む。 ゆっくりれみりゃの箱より更に四倍は大きい箱の中で、小さな赤ちゃんゆっくり霊夢がぽんぽんと生まれた。 『ゆっくりしていってね!』 『ゆっくりしていってね!』 『れ、れいむ……れ゛い゛む゛ぅぅぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!』 だが、その瞬間。 発情が収まらないゆっくりアリスが、なんと赤ちゃんゆっくり霊夢に襲い掛かった。 『ゆ゛!? ゆ゛ゆ゛っ!?』 赤ちゃんゆっくり霊夢は突然の出来事に暴れるが、成人したゆっくりアリスに力で適うはずもなく。 他の赤ちゃんゆっくり霊夢たちは、怯えて隅に固まる。 そして交尾は終わるが、赤ちゃんゆっくりは黒ずんだだけで、子供を生むことはなかった。 ゆっくりアリスはその様子はじっと見つめた後、 ぎらり、とその視線を他の赤ちゃんゆっくりたちに移した。 その顔は、未だ発情したまま留まっており。 始まる、地獄絵図。 ゆっくり霊夢が覚えているのは、ここまでだった。 ついにゆっくり霊夢は意識を失い、失神してしまった。 冷たい、空気。 ゆっくり霊夢が目を開くと、そこは今まで暮らしていた部屋の中だった。 「……ゆっく!?」 吃驚して声を上げる。 声が、出る。 ゆっくり霊夢はもう猿轡をしておらず、狭い箱の中にも閉じ込められていなかった。 何が起こっているのか。 周囲を見渡すが、左右にゆっくりれみりゃやゆっくりアリスの姿は見当たらない。 あるのは、激しい空腹感だけ。 「ゆ、ゆっくりー!!!」 とにかく、理由は分からないが助かったことだけは分かり、ゆっくり霊夢は歓喜の声を上げた。 と、そこに、 「おう、起きたか?」 台所で朝食の支度をしていた主人が、ゆっくり霊夢の方を振り向いた。 「ゆっ……」 その顔を見た瞬間、今までの監禁生活で押さえ込んでいた様々な感情が溢れ出し。 ゆっくり霊夢は号泣しながら、主人の足元に飛びついた。 「う゛わ゛あ゛あああ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ゛ん゛!!!」 「おいおい、どうしたんだよ?」 主人は優しくゆっくり霊夢の身体を抱きかかえ、その涙を拭ってやる。 「ゆ、ゆ゛っく゛りて゛きる″! ゆっくりできるよぉぉぉ!!!」 「あぁん、お前何言ってるんだ……?」 わけが分からん、といった具合に主人は首を捻った。 だがその顔が笑いを堪えていることに、果たしてゆっくり霊夢は気付いているのだろうか? 「まぁいいや、朝食にするぞ」 「ゆ! 朝ごはん!?」 とにかくお腹が空いていた。寿司、ステーキ、自分が食べられなかった数々の豪華な食事を思い出し、思わず涎がこぼれそうになる。 激しい期待を込めて、調理中の料理を覗き込むゆっくり霊夢。 「……ゆ?」 だが、そこにあったのは、人参、椎茸などの普通の野菜ばかり。 しかもその量はかなり少なく、この空腹を満足させられる代物だとは到底思えなかった。 「も、もっといっぱい欲しいよ!」 「あー、悪い。今まで一週間贅沢したツケでな。今日から一ヶ月くらいこれで我慢してくれ」 「ゆっくり!?」 嘘だ、とばかりにゆっくり霊夢は絶叫を上げた。 「やだ! 食べたい!! れいむもステーキとかゆっくり食べたい!!!」 「お前、あんだけ食べてまだ足りないのか? 少しは限度ってもんがあるだろ」 「食べてない! れいむは食べてないよ!!」 「嘘をつくなよ!」 主人の厳しい叱責。びくりとゆっくり霊夢の身体が震える。 主人にとって、あの偽者が本物だったのだ。 あまりの理不尽に、ゆっくり霊夢は涙を流して訴える。 「違うの! 今までのれいむは偽者だったんだよ!! だかられいむは食べてないの!!!」 「いい加減にしろ!」 主人はがっしりとゆっくり霊夢の頬を掴み、言い聞かせるように耳元に囁いた。 「これ以上文句を言うなら、『ゆっくり出来ないようにする』ぞ」 「――!!!」 ゆっくり、できないように、する。 その一言は、ゆっくり霊夢のトラウマを蘇らせた。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 絶叫。涙の奔流が止め処なく溢れ出る。 「ごめ゛ん“な゛ざいぃ゛、ごめ゛ん゛な゛さ゛い゛ぃ゛ぃぃ!!! わがまま言わないからゆ゛る゛し゛て゛ぇ゛ぇぇぇ!!!」 「ごめ゛ん“な゛ざいぃ゛、ごめ゛ん゛な゛さ゛い゛ぃ゛ぃぃ!!! わがまま言わないからゆ゛る゛し゛て゛ぇ゛ぇぇぇ!!!」 その言葉を聞いた瞬間、俺は今までの人生で味わったことのない幸福感に包まれていた。 涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、謝罪の言葉を口にするゆっくり霊夢。 その哀れな表情が……この上なく、俺の快感となる。 「じゃあ、文句は言わないな?」 「うん……」 「よーし、いい子だ。早苗さんから貰った野菜だぞ、ゆっくり味わって食べろよ?」 「ゆっくり食べるよ……」 消沈した様子のゆっくり霊夢。 それを見て、愛しさが込み上げてきた。 「ああもぅ、可愛いなぁお前は!」 ゆっくり霊夢を抱きしめて頬ずりする。 やっぱりこいつは最高のペットだ! 酷いことしたと思うって? でもそれって俺の愛なんだ! 愛ならしょうがないよね!!
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※これはfuku2324.txt「ゆっくり奇々怪々(上)」の続きです。 独自解釈・設定ありです。 長いので注意。 翌日、鶏小屋には人だかりが出来ていた。 10匹からなる鶏達が、血と羽を残してこつ然と消えていたのである。 何かに喰い散らかされたのは明白だ。 「け、慧音様、これは・・・。」 男の顔は蒼白だ。後ろに控える妻、村長も険しい表情。 慧音は鶏小屋の中に入り、一通り惨状を見渡すと、言った。 「・・これがもし、妖怪や熊の仕業だというのなら、網や戸が破られているのが 普通だ。しかし、見たところこの小屋には目立った損傷は無い。あるとすれば」 と、鶏小屋の仕切りの接地部分を指差す。 そこはわずかに土が掘られており、隙間が空いていた。 「犯人が狐ならばこの穴があれば納得できる。だが、 狐と言えど一晩で鶏を10匹も腹に入れることは出来ん。」 「つ、つまり・・・。」 男の顔色は蒼白を通り越して土気色だ。 「うむ、君の言ったことは間違いでもなさそうだ。」 その後、慧音は村長に村人を広場に集めるよう頼んだ。 そこで自身の口から、村長の息子を襲い、鶏を食い荒らしたものが 同じモノによる仕業で、それはゆっくりである可能性が高いことを説明した。 当然、村人達は戸惑った。 この村は慧音が驚いたように、ブリーダーを筆頭としてゆっくりとの共存関係が うまく成り立っていることもあり、ゆっくりへ好意的な見方をする者が多い。 毎日熱心に働くれいむやのうかりん達の姿を見ていればなおさらだ。 「・・・・ゆぅ、残念だけど、お兄さんみたいな人達に色々教えてもらってない ゆっくりたちの中には、人のものを盗ったりする悪いゆっくりはいるよ。」 ざわつく村人たちの中で、ブリーダーに抱えられたれいむが発言する。 「・・・私も、畑を荒らされた。」 続いてブリーダーの足下にいるのうかりん。 「でも、鶏さんを食べちゃったり、人間に噛み付くゆっくりにはまりさ達会ったことないよ。」 最後にまりさが発言する。三匹の発言は村人達の気持ちを代弁していた。 「・・私としても、ゆっくりがこのような事を起こしたとは 考えたくない。お前達のようなゆっくりを見ていれば、なおさらだ。」 そう言って、ゆっくり達を勇気づけるように笑いかける。 「だが、この状況を放っておく訳にもいかん。よって、本日からこの 村を中心とした一帯を調査したい。村の若衆、協力してくれるか?」 そういうことならばと、続々と手が挙がっていく。 「慧音様、僕も一緒に行きます。」 ブリーダーの青年も手を挙げる。 「いいのか?」 ゆっくりを殺すことになるかもしれないんだぞ、と言いかけて、やめた。 ブリーダーという仕事はゆっくりをただ愛でて育てるだけの職業ではない。 時には悪いゆっくりを懲らしめ、場合によっては駆除するという役割も持っている。 青年の目は真剣だ。のうかりん達の姿を常に見ているからこそ、 この件に対する気負いも人一倍強いのだろう。 そこまで思い至った慧音は言葉を引っ込めた。 「考えれば、村でお前ほどゆっくりに詳しい者はいない。頼りにさせてもらうぞ。」 「ええ・・・れいむ達、行ってくるよ。」 「ゆっ!ゆっくり気をつけてね!!」 こうして、慧音、ブリーダーの青年を先頭に、調査隊は出発した。 「・・・・見て下さい慧音様!!ここにも。」 調査隊は男が襲われた場所よりも森側に来ていた。 叫んだ若衆の一人が指差すのは、一本の木の根元だ。 そこには、何かに齧られたような傷跡がついている。 「ここにもか。」 出発し、襲われた現場に着いたあたりから、木にこのような傷跡がつき始めた。 「熊などは自分の縄張りの印として爪痕を残すらしいが、 これは明らかに爪痕ではない、強いて言うならば歯形だ。」 爪が使える動物ならば、わざわざまずい木に噛み付く事は無い。 だが爪が使えないモノだとしたら? そう、例えば、ゆっくりのような。 ここにきて、犯人はゆっくりであるという確信めいたものが慧音、若衆達にはあった。 青年も、険しい顔で現状を分析している。 「・・・可能性は高いでしょうね。」 「だろうな。では、もっと奥に行こうか。」 進んで行く慧音の前に、茅葺きの屋根が見える。 「あそこにはどなたか住んでおられるのか?」 青年に問う慧音。 「ああ、あの家にはおじいさんが一人で住んでいますよ。 ブリーダーとしての先輩にも当たる方で、仕事を始めた 頃はとてもお世話になりました。 ・・・あまり人付き合いが得意な方ではないですから、この 場所に一人で住んでいるんですよ。あの方に聞けば、 今回の事に関して何かわかると思いま」 「待て!!」 「え?」 「気づかないか?・・・このにおいに。」 「・・・・・これって・・・!」 家から漂ってくるにおい。 それは何かが腐ったようなにおい。 「急げ!!」 慧音は家に向かって走り出す。 続いて走り出す青年達。 家が近づいてくる。畑を突っ切る。 雑草が伸びている。おかしい、畑の世話を怠るような人じゃなかった!! 青年の鼓動は早鐘のようだ。走っているからではない。 慧音は戸まで辿り着き、施錠されていない戸を思い切り開いた。 青年は中に入ろうとして、慧音の背中に阻まれる。慧音が入り口で立ち尽くしていたからだ。 「先せ・・・・い・・・・?」 見てしまった。 荒らされた家具。 腐りかけた食糧の残骸。 その真ん中には。 「・・・・う、うげええっ!!」 先頭二人の間から中を見た若衆が、口を押さえてよろめく。 「何という事だ・・・。」 部屋の真ん中には、腐敗し、所々が欠損した死体が転がっていた。 「あ・・・・そんな・・・・。」 青年は思わず床に膝をつく。 慧音はかがみ込み、青年の方を軽く抱く。 「・・・すまん、だがこの状況だ。このご遺体は、この家の方か?」 「・・・・・はい、服装から見て間違いありません。」 「わかった・・。」 慧音は遺体に近づくと、手を合わせた。 と、どたどたと誰かが走る音が家に近づいてくる。 駆け込んできたのは、万が一の時に備え村に残った若衆の一人だった。 息を切らし必死な様子の彼に、慧音が振り返って尋ねる。 「どうした?」 若衆は絞り出すように言う。 「大変です・・・・村に・・・・化け物が・・・!」 村は、若衆の呻き声で満たされていた。 ある者は木に叩き付けられ。 ある者は腕や足を齧られ。 皆が身動きが取れないほど痛めつけられていた。 その中心には。 「ゆっへっへ・・・・ありす、やっぱりにんげんなんてたいしたことないんだぜ」 「そうね、とかいはのしたでれいぞくするべきいなかものたちなんてしょせんこんなていどよ」 人間の腰までの大きさのゆっくりまりさとありすが、倒れ伏した若衆の一人の背中にのしかかっていた。 「う・・・う・・・。」 「ゆ!!みてありす、このにんげんうーうーうなってるぜ!!」 「まるであのはねつきぶたまんみたい。おお、ぶざまぶざま!!」 そう言って飛び跳ねながら、大口を開けて笑う二匹。 大きく開いた口からは、血で薄汚れた牙が。 よく見れば、その体は筋肉組織のようなものが表皮の下にあることを 伺わせる隆起があり、更にその瞳は爬虫類のように縦長だ。 ただのゆっくりではない。 いや、もはやゆっくりと呼んでいいのか。 ここにいるのは、人を喰らう妖怪と何ら変わりのない存在であった。 「・・・・最悪だ、こんな時間に村まで来てしまうなんて・・・。」 齧られた肩を押さえながら、村長の息子は二匹の前にいた。 調査隊が行ってしまってる時間である事が災いした。村に残っている男でかろうじて 動けるのはもはや彼一人。女子供、老人は絶対に家から出ないように言ってある。 「まりさ!!あいつこのあいだまりさがかみついたにんげんだよ!!」 「おじさん、せっかくにがしてやったのに、またたべられにきたの? ばかなの?しぬの?しなすよ?ユッヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘッ!!」 「で、出て行け!!化け物ども!!!」 「これだからいなかものは!!わきまえなさいよ」 「おじさん、いますぐにくをもってくるんだぜ。おんなやこどものにくがいいんだぜ!! さもないと、おじさんのあたまからばりばりかじってやるんだぜ!!」 「とかいはにふさわしいきのきいたむすめをつれてきなさい!!それで、すっきりー!!! させてあげる。ありすのぺにぺにでよがりくるわせてアゲルゥゥッ!!」 ゆっくりがただ食糧を要求するのでなく、女子供を喰い、犯そうとしている。 その事実に、男の背筋にぞわっとした感覚が走る。 「そ、そんな要求は、飲めない!」 男は今にも逃げ出したい気持ちを抑え、手にしたゆっくり撃退用の棍棒を握り直す。 「じゃあしかたないぜ、おじさんからむしゃむしゃしちゃうんダゼェェェ!!」 飛びかからんとするまりさ。 「ゆ、まってまりさ!!」 「ゆぅ・・・?」 と、二匹の動きが止まる。 「お前・・・。」 男と二匹との間に、のうかりんが現れた。 男を二匹から守るように手を広げ、二匹を視線で射殺さんと睨みつけている。 「まりさ!!こののうかりんは!!」 「おもいだしたんだぜ、あのくそじじいのところのなんだぜ!!」 「・・・おじいさんにいっぱい懲らしめられたのに、まだわからないの?」 「わかるわけがないんだぜ!!くそじじいはみのほどしらずだったんだぜ!!」 「そうよ!!だからわたしたちあいつを」 「おじいさんに何をしたの!!!!」 普段寡黙なのうかりんの大声に、男は驚いた。それは二匹も例外ではないようだ。 「・・・ゆ、うるさいんだぜ」 「・・な、なにをしたかって・・・ねぇ?ゆっふふふ♪」 のうかりんの剣幕に多少気圧されながらも、二匹は不敵な表情を崩さない。 「でも、ひとつだけおしえてやるんだぜ♪」 「・・・・・・!!」 「あなたのだーいすきなくそじじいは、もうしんだのよ♪」 「「ゆっははははははははハハハハハハハハハッ!!」」 のうかりんは二匹に向かって突進していた。 「ブザマァ!!!!!」 笑っていたまりさはのうかりんの突進を真正面から受け止め、逆にはじき飛ばした。 男の遥か後方、家の壁に激突し、崩れ落ちるのうかりん。 「のうかりん!!くそ!!」 「ゆぅ、まりさ、あののうかりんにはきょういくてきしどうがひつようだわ」 「あいつにはさんざんいたいめにあわされたんだぜ。ゆっくりすっきりさせてからころしてヤルンダゼエェ!!」 二匹は牙を剥き出しにし、のうかりんへ突進しようとした。 しかし。 「ゆぅ・・・ありす・・・?」 「ええ・・・まりさ・・・しおどきのようね」 と、二匹は用心深く辺りを見回すと、のうかりんや男がいる場所から反対方向の家の屋根へと一瞬で跳躍した。 「きょうのところはこのくらいでかんべんしてやるんだぜ!!!」 「こんどもりへくるときはみつぎものをもってきなさい!!かんげいしてあげるわ!!!!」 ゆっくりらしからぬ洪笑をまき散らしながら、二匹は去っていった。 そこへ。 「大丈夫か!!!?」 調査隊が、慧音を先頭に村へ帰ってきたのだ。 村は、負傷者の手当に追われていた。当初は逃げた二匹を追うべきという 意見も出たが、慧音が深追いを制し、体制を立て直すことを優先したのである。 手当の傍ら対策本部としておかれた村長の家には、男、青年、慧音の三人が集っていた。村長は手当の指揮をしている。 「そうですか、森の方ではそんなことが・・・・。」 「あの化け物ども、おじいさんだけじゃなく、村のみんなまで・・・!!」 青年は激昂し、畳に拳を叩き付けた。 「・・・・・。」 慧音は考えていた。 目の前で被害が出てしまった以上、犯人がゆっくりであることは確定した。 しかし。 普通では考えられない身体能力をもったゆっくり。しかも、あろうことか人の肉を要求したという。 何故、そのようなモノが現れたのか? ふと、開かれた縁側の方へ目を向けると、庭でのうかりんが月夜の下、手にしたじょうろに目を落とし、立ちすくんでいた。 それを遠巻きに心配そうな目線をおくるれいむ、まりさ、ちぇん。 「・・・・彼女は、あのご老人のところで育てられたそうだな。」 「はい。」 のうかりんがまだ幼いゆうかりんだったころ、あるゆっくりの群れによって家族を殺された。 いくら他のゆっくりより優れた能力を持つゆうか種でも、圧倒的な数の優位は覆せない。 森の片隅で花を育てていた一家に襲いかかった賊は、ゆうかりんの父親を圧殺し、母親を犯し尽くして殺した。 二匹に素早く木立の中に隠されたゆうかりんは、全身を貫かれるような思いでそれを見ていた。 何度飛び出してやつらと刺し違えようと思ったか。 しかし、両親の願いは、彼女に生きてもらうこと。ここでやつらに踏みつぶされることではない。 そう悟るほどに聡明だったゆうかりんは、涙を振り払いながらその場から逃げようとした。 しかし、運悪く見張りをしていた一匹に見つかり、捕らえられてしまう。 大れいむにふみ殺されようというその時、群れは周辺から悲鳴に包まれていった。 ブリーダーが組織した討伐隊だった。 助けられたのうかりんは、そこでおじいさんに会った。 怖いと聞かされてきた人間。 初めての人間は、勇気づけるような笑顔だった。 おじいさんに引き取られ、育てられたゆうかりんはすくすくと成長し、畑の作り方も覚えた。 彼女は二度と畑荒らしの駄ゆっくりどもに負けないよう、鍛錬を欠かさなかった。 ゆうかりんはおじいさんがいなくとも多くのゆっくりを蹴散らせる程に強くなった。 おじいさんに育てた花や野菜を褒められ、自分が強くなっていくと感じる日々。 ゆうかりんは幸せだった。 やがて体ができ、のうかりんになると、おじいさんは村の新米ブリーダーのところで暮らすよう言われた。 おじいさんは言った。お前はもう一人前だと、お前の育てる花で今度は大勢を笑顔にするんだよと。 のうかりんは寂しさを覚えたが、いつでもおじいさんには会えるのだし、多くの人に自分の花を見てもらいたくもあった。 こうして、のうかりんは村で暮らすようになり、今に至る。 「そうか・・・・辛いだろうな。」 「・・・ええ、彼女のもう一人の父親とも呼べる人でしたから。」 「君も大丈夫か?」 男が青年に尋ねる。 「・・・泣くのはこの件が片付いてからにします。それで、慧音様。」 「うむ、のうかりんから情報があったそうだな。」 「はい、まず、あの二匹のゆっくりに関して、やつらにはのうかりんが以前会ったことがあるそうです。」 のうかりんがまだおじいさんの畑を守っているころ、家族らしきゆっくりの一団が畑を襲撃した。 情けはかけなかった。 親らしき二匹以外は全て踏みつぶし、残った二匹ーまりさとありすも散々痛めつけて動けなくした。 ぼこぼこになった体をよじりながら悪態をつくさまを見て、のうかりんははっとした。 こいつらは、のうかりんの親を殺した群れの一員だったと。 無論、当時見かけた姿より大きくなっていたが、顔に張り付いた下衆の表情は忘れようが無かった。 討伐隊に狩られた時はまだ小さかったこともあり、混乱に乗じて逃げ延びたのだろう。 憎い仇の一員。しかし、わめき散らす二匹を見て、のうかりんは最早哀れみしか感じていなかった。 自分はあれからいろんなことを学んだ。だが、こいつらは違う。学べなかったのだと。 このことをおじいさんに報告すると、温厚な顔を憤怒の形相に変えて、更に二匹を痛めつけた。 泣き叫び、しかしなお悪態をつくまりさ達に、おじいさんは彼らを監督下におき、性根を叩き直すと宣言した。 それが、のうかりんが村に来る直前の出来事である。 「では、あいつらは最近までおじいさんの家で監督されていたということか。」 「そのようです。」 「・・・・・。」 二人の会話を聞きながら、いまだ慧音は考えていた。 あの二匹の出自はわかった。 しかし、やはりわからない。 何故、おじいさんを、人一人殺せるようなゆっくりが生まれたのか。 「原因はわからないが、あいつらがあんな化け物になって、おじいさんが最初の犠牲になった・・・。」 「・・・・さっきご遺体をあらためましたが・・・やはり欠けていた部分はやつらに齧られていたようです。」 そう言うと、青年は顔を伏せ、歯を食いしばるような表情をした。 慧音は思った。耐え難いだろうと。恩師が亡くなり、それもゆっくりに喰われたのが原因で。 ゆっくりに喰われた。 ゆっくりが、人の肉を、喰った。 「ん、慧音先生、どうしたんですか。」 はっと顔をあげた慧音に、男が尋ねる。 「・・・少し、長話をしていいか?」 「君たちは、妖怪が仙人の肉を喰らったらどうなると思う?」 「・・・・?」 「え?」 姿勢を正した慧音の第一声がそれだ。 「・・お前には寺子屋で教えた筈だがな。」 「へ?あ、ええと。」 青年は記憶を辿る。 「確か、妖怪としての格が上がって、強くなるんじゃありませんでした?」 「その通り。では、獣が仙人の肉を喰らった場合はどうなる?」 「妖獣になることがある、でしたよね?」 「そうだ。」 「あの、慧音様?それと今回の件は」 「気づかないか?」 「?」 怪訝な顔をしている男の横で、青年は言う。 「今回ゆっくりは、人間の肉を喰った・・・?」 「そうだ。」 「・・・・!!まさか。」 獣+仙人の肉=妖獣 ゆっくり+人間の肉= 「ゆっくりが、人間の肉を喰らって、妖怪になった・・・?」 青年が、自分の言ってることが信じられないといった調子で、呟く。 「・・・私も完全には信じられないがな。傲慢な言い方になるかもしれんが、客観的に見て ゆっくりにとっては人間とは我々にとっての仙人のような存在だ。その体を取り込む ことで生物としての格が上がるのは、むしろ自然なのかもしれん。」 「し、しかし、それではどの時点でやつらが化け物になったのかわかりませんよ。 おじいさんの家に閉じ込められていたわけですし、人間の肉を喰う機会なんて。」 男が戸惑ったように意見する。 「やつらはおじいさんのご遺体を齧るまでは、ただのゆっくりだったのだろう。」 「そ、それでは、それ以前におじいさんは亡くなっていたと・・・・?」 「・・・・おじいさん、胸が悪かったんだよ。」 「のうかりん・・・。」 いつのまにか縁側にはのうかりんがいた。 三人に向かって更に口を開く。 「心配かけたくないからって、村の人には誰にも言ってなかったんだけど、おじいさん 怒ったり重いもの運んだりした後はたまに胸を押さえて苦しそうだった。だから、多分 あいつらを懲らしめてる最中にすごく怒ってしまって、それで苦しく・・・・・っ。」 のうかりんは耐えられなくなったというように両手で顔を覆う。 青年のうかりんに近寄り、軽く抱き寄せる。 「恐らくは、このようなことだったのではないか。」 慧音が口を開く。 その日、おじいさんは監視下においていたまりさ、ありすと対峙していた。 散々罰を与えても直らない二匹の性根。二匹はその日も傲慢な態度を取り続けた。 おじいさんは、いつものように罰を与えた。 いつもなら泣いて謝るところまで来て、その日二匹はいまだ罵詈雑言をやめなかった。 愛娘と言っていいのうかりんの仇ということもあり、おじいさんは激昂してしまい、更なる罰を与えようと 立ち上がった。 そこで、限界が来た。 おじいさんは胸をおさえて苦しみだし、床に倒れ伏す。 驚く二匹。もしくは自分達の力だと勘違いしたかもしれない。 周りに人もいなく、助けを求めることも出来ず、やがておじいさんは息を引き取った。 残された二匹は狂喜したに違いない。憎い相手が動かなくなってくれたのだから。 二匹は好き放題部屋を荒し、食糧を喰い荒らした。 しかし、食糧はすぐに尽きてしまった。 更に、元々二匹を逃がすまいと厳重だった戸締まりは、二匹が外へ逃げることを許さない。 次第に衰弱していく二匹。 このまま朽ちるのか。 いや・・・・朽ちるのは、おじいさんの体の方が先だった。 腐敗し、形が崩れた遺体へと目を向ける二匹。 贅沢は言っていられない。 彼らにとって、目の前にあるのは人間の体ではなく、腐りかけの肉だった。 二匹は遺体へのそのそと近づき。 口を開け。 齧り、ついた。 やがて、戸は破られ、二匹の化け物・・・・妖ゆっくりは、野に放たれた。 続き 無理矢理な解釈で混乱させてしまったかもしれません。やっぱもの書くのって難しい・・・・。 予想以上に長くなってしまい、上下のつもりが上中下構成になってしまいました。 続きは3、4日中にはあげたいと思います。 ゆっくりゃバーガーの人 このSSに感想を付ける
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ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、今日もゆっくりと行われるのだ。 さて。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 永琳の目の前に、四匹のゆっくりれいむがいた。 どこからどうみてもただのれいむで、実際その通りなのだが、ちょっとだけ違うところがある。 この四匹のゆっくりは、産まれた直後に親から引き取り、永琳が自ら管理・育成したものだ。 ちなみに親は子供達を取られることに激しく抵抗を示したが、ちゃんと育てると言ったらすぐ納得してくれた。 純粋なのか薄情なのか。それとも単に『子を取られる親』のポーズをしていただけなのか。 いずれにしろろくなものではない。今はどこかの部屋でゆっくりしていることだろう。 閑話休題。 この四匹のれいむは、産まれたときからずっと同じように育てられてきた。 同じ量の餌を与え、同じ量の運動をさせ、同じ時間に眠らせ、同じ時間に起こされた。 その甲斐あってか、四匹のゆっくりは全く同じ体型・重量を持つゆっくりとなった。 無論、永琳の目的はただ同じゆっくりを育てることにあったのではない。 これからこの四匹を使って、とある実験を行うのである。 まず、実験の前段階として、永琳はれいむ達に簡単なテストをしてみた。 「今日はみんなにこれをあげるわ」 と、永琳はれいむ達に、赤、青、黄、緑の色違いのリボンをつけてあげた。 「ゆゆ! れいむかわいいよ!」 「れいむもにあってるよ! おしゃれさんだね!」 「おねえさんありがとう! ゆっくりかんしゃするよ!」 「またなにかちょうだいね!」 最後に若干厚かましいことを言ってきたが、それを気にした様子もなく永琳は笑ってみせた。 「うふふ、でもずっとつけてると髪にクセがついちゃうかもしれないから、晩ご飯の前に一度外しましょうね」 「「「「ゆっくりそうするよ!!!!」」」」 四匹は唱和して、その日も(本人達は自由に遊んでいるつもりだが)永琳が用意した運動メニューに沿って過ごした。 晩ご飯を食べたあと、永琳は前もって予告していた通りにリボンを外した。 「もっとつけていたかったよ!」 「ごめんなさいね。また明日つけてあげるわ。そのかわり、ちょっとみんなで遊びましょうか」 と永琳は、三つの黒い箱を持ってきた。ちょうどれいむがぴったり収まるサイズだ。 「なにするの?」 「当てっこよ。今から、三人に箱をかぶせて、私が一つずつ箱をどかすから、残った一人がそれが誰か当てるの。いい?」 「「「「ゆ! おもしろそう! やるやる!」」」」 早速、永琳は四匹のうち三匹に箱をかぶせた。普通ならここで騒ぎ立てたりするのだろうが、新しい遊びということで好奇心が勝ったようだ。 「それじゃあ行くわよ。……はい!」 待ち構えていた一匹の目の前で、永琳は箱を外した。三十秒ぶりにゆっくり姉妹が対面する。 「これは誰かしら? さっき着けていたリボンの色で答えてね」 「ゆ! わかるよ! きいろのりぼんをつけてたれいむだよ!」 得意げに、青いりぼんをつけていたれいむは答えた。 「正解! よーし、それじゃあ次に行きましょうか──」 その後、残りの二匹についても、れいむは正解してみせた。 難易度を上げて、箱にいれた三匹のれいむをシャッフルしても結果は同じだ。 念のため残りの三匹についても同じことをしてみせたが、やはり全員全問正解だった。 もちろん、自分がつけていたリボンの色も覚えている。 永琳から見ても同じ顔にしか見えないゆっくりだが、どうやら個体識別はちゃんとできているらしい。 「すごいすごい! あなた達、ちゃんと姉妹の顔が分かるのね。判子絵師が描いた立ち絵みたいな均等品質のくせに」 「あたりまえだよ! れいむたちはかぞくだもん!」 「かぞくのかおをまちがえるわけないよ!」 「ねー!」 「ねー!」 何気にバカにしていた表現にも気づかず、気をよくするゆっくり達。 ……ところで、永琳からも見分けがつかないほど同じ顔をしたゆっくり達なのに、何故永琳はれいむの答えが正解だと分かったのか。 それは実に単純な話で、リボンを外したあとのれいむ一匹一匹の動きを、完全に記憶していただけのことである。 そんな天才薬師八意永琳は、いよいよ今日の実験の本番に取り掛かった。 「正解したみんなへのご褒美に、今日は特別な晩ご飯を用意したわ」 「ゆぅん! はやくもってきてね!」 「おなかすいたよ! ゆっくりはやくね!」 口々にご飯をせがむゆっくり達を、まぁまぁ、と永琳はなだめる。 「そう慌てないで。何しろ特別なご飯だもの。食べ方もちょっと特別なの。頭のいいあなた達ならわかるわよね」 「! うん! れいむたちあたまいいからね! ちゃんとわかってるよ!」 「ゆっくりまつよ! だからはやくね!」 永琳はにっこり笑うと、さっきと同じ黒い箱にれいむを四匹とも入れた。 ただし今回の箱は、れいむの正面と左側に、同じ大きさの穴が開いている。 「ゆ! せまいよ! なにもみれないよ!」 「ゆっくりだしてね! ごはんちょうだいね!」 みじろぎも出来ないほど狭い箱に押し込まれて、ゆっくり達が抗議の声を上げた。 「だから慌てないで。これからみんなをごはんのあるところに連れて行くの。 ちょっと準備が大変だけど、ちゃんとみんな食べられるから安心してね。 口のところにある穴からストローが差し込まれるから、それを吸えばご飯がでてくるわ」 「ゆ、そういうことならゆっくり待つよ!」 わくわくとした気配で、ゆっくり達はご飯が出てくるのを今か今かと待ち続けた。 「…………」 永琳は無言で、ゆっくり達の左側面の穴に、穴と同じぴったり太さの管を差し込んだ。 管は、箱の中のゆっくりの皮を貫いて、その先端を二センチほど体内にめりこませた。 「ゆぎっ!? な、なにかはいっでぎだよぉ?!」 構わず、永琳は残り三匹についても同様の処理を行う。 「ゆぎゃっ!」「ざざっでる! へんなものがざざっでるよぉ!」「ぬいでぇぇぇ!」 さっきまでとは打って変わって悲鳴が上がるが、永琳はそれを笑顔で封殺する。 「ごめんなさいね。しっかり固定しておかないと危険かもしれないの。 痛いけどゆっくり我慢してね。そうでないと、ずっとゆっくりできなくなるかもしれないわよ?」 「「「「ゆっ……ゆっぐりがまんずるよ!!!!」」」」 ゆっくりできない、という言葉が効いたのか、ゆっくり達は素直に痛みに耐えた。 「うん、あなた達は強いゆっくりだわ。それじゃあ今から、ご飯をあげるわね。口を開いていてね」 そして永琳は、四つの箱を正方形に並べた。 あるゆっくりの側面の管は、隣のゆっくりの正面の穴に宛がわれている。 そのゆっくりの側面の管は、やはりその隣のゆっくりの正面の穴へ── 全方向から同時に押し込めば、箱とゆっくりが四本の管で円状に連結されることになる。 (そう……これこそ『ムゲンゆっくリング』!!!) カッ!と心の中に稲妻を轟かせ、永琳は天才的なネーミングセンスによってこの実験に名を与えた。 天才とは凡人には理解できないものである。 永琳は鈴仙とてゐとついでに適当な兎に手伝わせ、四方向から箱を押し込む。 「「「「ゆっ!!!!」」」」 ゆっくり達の口の中に管が差し込まれる。 狭いところに押し込まれ、痛い思いをしてまでようやくありつけたご飯だ。ゆっくり達は、それぞれ思いっきり管を吸った。 そして口の中に甘みが広がり──同時に、自分の身に起きた異常を悟る。 「「「「!!??!?!!?!!?!?」」」」 自分の中身が、さっき痛みを感じた場所からどんどん流れ出ていく感触。 あんこの量が生死を左右することを、ゆっくりは本能的に知っている。だからこそ、自らに迫りつつある死の気配を、れいむ達は敏感に感じ取った。 そして同時に、自分が吸っているものの正体が何であるかも悟った。 抜け出すのと同じ量だけ入ってくる甘み。味わったことがないはずなのに、どこか懐かしさを感じさせる味。 それは、自分の姉妹の中身なのだと。 そして、自分の中身もまた別の姉妹に食われているのだと。 だが気づいたところでどうしようもなかった。一瞬でも動きを止めれば、その隙に自分の餡子が吸い出されてしまうのだ。 四匹のゆっくりは、最早相手が姉妹であることも忘れたように、ひたすら餡子を吸い続けた。 一匹でも力尽きれば、その瞬間に最終勝利者が決定するこの地獄のループ。 だが永琳の手によって、完全に均質に『調整』されたゆっくり達は、どれも同じ吸引力を持ち、どれも同じように疲労していった。 餡子を吸い、吸われ、吸い、吸われ── そして一時間と十五分と三十七秒が経過したとき、四匹のゆっくりは同時に力尽きた。 「……ゆっ?」 ゆっくりれいむは目を覚ました。きょろきょろと辺りを見回すと、自分以外も三匹も同時に目を覚ましていた。 「あら、起きたかしら?」 いつも聞いている声が降ってきた。 それは自分達に餌をくれる優しいお姉さんの声だった。 だが今日は、いつもと事情が違う。 「ひどいよ! れいむにれいむのあんこたべさせたね!」 「あんなひどいことするおねえさんとはもうゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないおばさんはゆっくりしんでね!」 「しね! ゆっくりしね!」 四匹分の罵声が、永琳を攻め立てた。だが永琳はただ、いつもと同じ笑みを浮かべるだけ。 「はいはいゆっくりゆっくり。大丈夫よ、もうあんなことしないから。 でも、訊いてもいいかしら」 「……なに」 警戒心もあらわに、れいむ達は上目遣いで永琳を睨みつける。 永琳は笑みを深めた。 それは氷のように冷たい笑みだった。 「──ねぇ。 自分が何色のリボンをしていたか、覚えてる?」 そう訊かれ、れいむ達は思い出そうとして、──思い出そうとして、 「「「「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?!?」」」」 四匹のれいむは、完全な恐慌状態に陥った。 「「「れ゛い゛む゛は゛だ゛れ゛な゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!????」」」」 「自らの存在を問う──哲学的ねぇ」 そこら中を転げまわるゆっくりの中で、永琳はしきりに頷いて見せた。 永琳は、ゆっくりの餡子がゆっくりの血であり肉であり、内臓器官であり、脳であることを、これまでの実験で理解していた。 通常の生物で考えれば『おかしい』作りではあるが、あえて人間の器官で表現すれば、ということだ。 また、多少の餡子が喪われても、他のゆっくりの餡子を詰め替えたり、或いは市販品の餡子を詰めてやれば、意識が回復することも分かっている。 およそ半分の餡子を喪うと死に至ることも同時に明らかになっているが、つまりそれは、餡子の量によって意識の主導権が変わるのではないかと永琳は踏んだ。 それを踏まえての今回の実験である。 一時間と十五分をかけて、ゆっくりの体内の餡子は均等に混ざり合った。体内の餡子の総量自体は全く変化させないままに。 その結果がこれである。 改めて、ゆっくりの自我の実在と、驚くべき生命力(人間で言えば脳味噌をかき混ぜられたようなものだ)が明らかになったわけだが…… (指摘されるまで気づかないなんて……これぞゆっくり脳ってことなのかしらねぇ) 全く以て飽きない実験材料だ。永琳はそう思いながら、絶叫の合唱をよそに、実験室を去った。 三日後。 鈴仙に適当に餌だけ投げ込んでおくよう指示していた永琳は、例のれいむ四姉妹の様子を見に行くことにした。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 れいむ達は、再び新たな自我を確立していた。無論、永琳のことも覚えていた。 色々聞いてみると、どうやら三日前の記憶は綺麗さっぱり消えてしまっているようだ。 だが、永琳があの四色のリボンを取り出すと、全員石像のように硬直してしまう辺り、完全に忘れたというわけではないようである。 『逃避』という高度な精神活動が行われたことに、永琳は素直に驚きつつ、次の実験のテーマを練り始めた。 (次は、ゆっくりの精神活動について、詳しく調べてみましょうか……) このゆっくり達は、後日、四匹の母親を加えてまた新たな実験が行われることになるのだが……それはまた、別の話である。 ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、明日もゆっくりと行われるだろう。 あとがき 前々から考えていたネタを、904.jpgを見た誰かに先を越される前に書いた。 反省はしていない。 あと、別に判子絵師(誰とは言わない)に恨みがあるわけではありません。むしろ好きです。イベ絵は綺麗ですし。 これ以上は年齢制限にグレイズかしら…… このSSに感想を付ける
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野生のゆっくりげすまりさは、知り合いのぱちゅりーからある話を聞いた。 里で野菜の生えているところを襲わず、道の端っこで歌を歌えば、ゆっくりできるものがもらえると。 事実その里では、飼いゆっくり・野良ゆっくり問わず、ゆっくりによるストリートライブが盛んだった。 げすまりさは伴侶のまりさと子供たち20匹を連れ、人里へと下っていった。 ちなみに20匹もいる理由は、後先考えずにすっきりしたからである。下衆の遺伝子はこうして増えていくのである。 ぱちゅりーに言われたとおりに、空き缶を目の前に置く。そしてみんなで歌を歌い始める。 「ゆゆゆっゆー♪」 「ゆゆー♪」 「ゆーゆー♪」 人間が聞けば耳を塞ぎたくなるような声であるが、この里ではドスとの協定のせいで、人間の住居に危害を加えていないゆっくりを潰すことができない。 行く者は皆、不快そうな顔でゆっくりをにらみつけるか、いらなくなったゴミを缶の中に突っ込むかのどちらかしかいない。 親まりさは「もっとゆっくりできるものをちょうだいね!いちまんえんでいいよ!」と抗議するが、そのたびに無視される。 「たからものがいっぱいあつまったよ!」 子まりさはのんきなもので、綺麗な小石や変わった形のゴミなどを帽子の中に突っ込んで大喜びしている。 「…おい」 「ゆ?」 そこに、一人の男が通りすがった。 「おにーさん、まりさたちにおかねくれるならとくべつにおうたをきかせてあげてもいいよ!」 「いちまんえんでいいよ!」 「来い」 男は2匹の親まりさの帽子を素早く奪い取り、すたすたと歩き出す。 「ゆっぐりでぎないよおおおおお!!!」 親まりさはそのあとを必死になって追う。そして親まりさを追いかける子まりさと赤まりさ。なんとも平和的な光景である。 この里のメインストリートのライブは素晴らしいものであった。 「ゆっくりいっかはゆかいだっなぁ~♪」 人間の歌に勝るとも劣らぬ美声を披露するゆっくりれいむ。(あんなのはへたなゆっくりのうただよ!まりさたちのほうがひゃくおくまんばいはすてきなうただよ!) 「まんじゅうに~うまれたぁこのぉいのちい~♪ゆゆゆゆ~♪」 子供とコーラスをするゆっくりまりさ一家(あんなへんなうたをうたうなんてあわれだね!ゲラゲラゲラ) 「ゆゆゆ~♪どおしてわだじは~ゆんでれら~♪」 歌は今ひとつだが、寸劇を織り込むことでひとつのミュージカル風の演劇を作り出すゆっくりの群れ(あんなことでないているなんてなんなの?しぬの?)。 それを見せながら、男はまりさ一家に語る。 「ああいうのが人間がゆっくりできる歌なんだよ。お前らのは歌じゃない、雑音だ。こんなのじゃ金どころか餌ももらえねぇよ」 「ひどいよ!まりさたちはドスにもほめられたんだよ!」 「そりゃゆっくりの間では上手いのかもしれないがな、人間が聞いたら殺されかねないぞ」 「あんなゆっくりできないうたをうたうなんて、ゆっくりじゃないよ!おじさんはゆっくりりかいしてね!」 「それにドスとの「きょうてい」もあるからころされないよ!おじさんばかなの?」 「おおおろかおろか」 「「「「ゲラゲラゲラ」」」」 小ばかにしたように笑うげすまりさの一家。男はそれを無表情で見つめている。 何を言っても無駄だ。男は再びゆっくりの帽子を素早く奪い、今度は路地裏の広場へと歩いていく。 「ま、まりざだぢのぼうじがえじでえええええ!!!」 まりさたちはやはり路地裏におびき寄せられる。そこで待ち伏せしていた男は、素早くゆっくりたちを透明な箱に突っ込んでいく。 「お前らを一流のストリート・ミュージシャンに仕立ててやるよ」 男はそういいながら、自分の家へと帰っていった。 数日後。男は片方の親まりさに撥を持たせていた。目の前には、見学に来た別の男がいる。 「教えたとおりにやれ」 「ゆ、でも…」 「やれ、このゴミ饅頭が」 男に言われ、親まりさは泣きそうな顔で、地面に敷かれているボードを撥で叩き始める。 「ゆべっ」 叩いた場所が、ちょうどシの音を奏でる。別の場所を叩くと、今度はラの音を奏でる。いずれもゆっくりの悲鳴だ。 そのボードは20個のマスを持ち、それが1つの音階を作り出していた。 「ゆべっ」「ゆびゃっ」「ゆぎっ」「ゆげぇ」「ゆぐっ」「ゆごあ!」「ゆびょ」「ぷぎぇ」 そのマスには子ゆっくりが埋め込まれており、それぞれが叩かれたときの悲鳴で別の音を奏でる。それがひとつの音楽を奏でていた。今回は「七つの子」をひいている。 そしてもうひとつ、「歌詞ボード」という場所が存在する。ここからはゆっくりの歌声が聞こえる。ここにはもう片方の親まりさが埋め込まれている。 「があらあずう…なぜなぐのお…」 「…また凝った演奏方法だな」 見学に来た男が、不思議そうなまなざしでその謎のボードを見つめる。ボードには子ゆっくりが苦悶の表情を浮かべている。おでこには「肉」…ではなく、ドだのソだのという文字が書かれている。 「ゆっくりの悲鳴を音階状に仕立て上げたんだ。とりあえずオレンジジュースをボードにぶっかけてやれば復活する。ちなみにお代は別請求にする」 男は得意げに言いながら親まりさから撥を奪い取り、『剣の舞』をたたき始めた。 「ゆびゃびゃびゃびゃびゃびゃびぇびゃあ!」 「まりざのごどもがあああああ!!!」 「で、名前は?」 「まぁモチーフは木琴だからな。名づけて『ゆっきん』ってところかね」 男は撥を演奏まりさの口に突っ込みながらにんまりと笑う。 「まぁお前らも、これで多少稼ぎができるってもんだ。感謝しろよ。お前たちも苦労しているドスまりさに人間の里の菓子でも買ってやったらどうだ?」 ゆっきんボードには、バスケットボールくらいの大きさしかない、生物としては非力なまりさでも引けるようにローラーがついている。 どうしてこんなことになってしまったんだろう。どうしてまりさの家族はこんなことになってしまったんだろう。 まりさは泣きながら、「七つの子」を叩き続ける。我が子の悲鳴が、生きる糧を得る唯一の方法だ。 毎日楽して暮らしたい。そう思った結果がこれだ。 「おれんじじゅーすと、おかねちょうだいね…」 「はい、オレンジジュース。あとこれお金。じゃあなゆっくり!」 「…そんな…2えんじゃ…ゆっくりできないよ…」 隣の熱唱れいむは、自分たちにとってまったくゆっくりできないロックソングを歌っている。その結果、100円玉はもちろんのこと、紙のお金までもらっている。 あれだけお金があれば、きっと子供たちも養っていけるのだろう。 それに比べて、自分は完璧な「ゆっきん」を使って1日中がんばってやっと2円だ。 親まりさは今更になって、自分の技量が足りないことを思い知ったのであった。 めでたし、めでたし。 材料は勝手に山から下りてくる。仕込みに時間はかかるが、その間の虐待が楽しい。しかもものめずらしさから高く売れる。 男はゆっくりのストリートライブを発展させるため、今日もゆっきん作りに励んでいる。 ゆっきんの作り方 1.適当なゆっくり一家を捕まえる。できれば15匹以上が望ましい。 2.砂糖を表面に延ばした板とオレンジジュース、カッターナイフ(ゆっくりを切るもの)を用意。 3.子ゆっくりを前面と背面に切り分け、前面を砂糖板にくっつけ、オレンジジュースで癒着させる。これを繰り返す。ゆっくりは餡子を適当な分量で残しておけば、顔を切られても死ぬことはない。 4.子ゆっくりの顔、または上の板に対応する音を書く。 5.ゆっきん仕込みを開始する 6.ゆっきん仕込みが終わったら、砂糖板の四隅にキャリアーをつけてゆっくりが運びやすいようにしてやる これで完成。砂糖板はちゃんと防腐・防虫加工のために殺虫剤を混ぜてあるため、虫やカビは寄り付きません。寿命は大体3ヶ月です。 手入れは毎日弾くことと、オレンジジュースをぶっかけてやることです。食べさせてはいけません! ゆっきん仕込みのやり方 1.板にくっついた子ゆっくりを、調教専用の撥で叩く。ゆっくりは悲鳴を上げる。 2.音を隣で奏で、「叩いたらこの音を出せ」ということを言い続ける。失敗したら皮を引きちぎってやろう。 3.死にそうになったらオレンジジュースや、背面の餡子を傷口から塗りこんでやる。食べさせるとゆっくりが助長するため、調教の成果が薄くなる。傷口に粗塩を塗りこむような治療が重要である。 4.完璧に音が奏でられるようになったら次にいく。これを何回も繰り返す。 5.すべてのゆっくりが音を奏でられるようになったら、適当な曲を弾いてみる。間違えたゆっくりとその両隣のゆっくりを、死ぬ寸前まで殴り続ける。こうして連帯責任感を植えつける。 6.一曲奏でられるようになったら、硬化剤を注入。ゆっくりの強度を上げる。この作業には時間がかかるため、硬化後にまた簡単な調教を行う。ゆっくりは死の恐怖と調教の記憶から、すぐに曲が奏でられるようになるはずだ。 7. 歌詞ボードを作る場合、ゆっくりの悲鳴で音楽を奏でながら「ここはこう言え」ということを同じように仕込む。歌詞ボードのゆっくりは片親がよいだろう。子ゆっくりの場合、記憶力が足りないのだ。なお、がんばれば3分くらいの曲を歌うことができる。 8.演奏ゆっくりがいる場合、そのゆっくりを「この順番で叩け」と言うことを仕込んでいく。こちらは無理ならやらなくてもいい。ゆっきんの演奏者は別に誰でも構わないからである。 9.たまに、反抗心が強かったり、音をどうしても奏でられないダメなゆっくり一家がいる。その場合は虐待用にして、別のゆっくりに「このゆっくりは曲が奏でられないからこんな目にあっているんだよ」ということを教える際の材料にする。 ゆっきんがあったら俺は『U.N.オーエンは彼女なのか』とか『ネイティブフェイス』とかの激しい曲を延々と奏でたいですね このSSに感想を付ける
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博麗神社の裏で子鬼が寝ていた。 小さな百鬼夜行 伊吹萃香だ。 昨夜も宴会で朝まで飲んでいたようですでに日は真上に昇っている。 「ん~?」 まだまだ寝ていたいのだが騒がしい声に目を覚ます萃香。 見ると目の前には最近幻想郷で大量発生しているゆっくりがたくさんいた。 ゆっくり霊夢に、魔理沙、ちぇぇぇんにみょんの四種類だ。 宴会のために天界から持ち出した桃の余りをそいつらは食していた。 籠に入れておいたのだがこいつらが籠を倒したようで、桃はそこらに散乱してる。 見る限り無傷なものは一つもない。 「あーっ!後で霊夢と一緒に食べようと思ってたのに!」 思わず叫んでしまう。 その声にゆっくりたちが反応する。 「ゆっ、おねえさんゆっくり寝てたね!」「ゆっくりしていってね!!」 「このくだものおいしーよ!!」「おねえさんもゆっくりたべる??」 「ちーんぽっ!」「まだあるよー、わかるよー」 30匹はいるだろうか。それだけの数のゆっくりが一度に話しかけてくるのでうるさいし聞き取れない。 「うるさいねぇ。ま、好きに食べていいよ。どうせすぐに取ってこれるし」 天界には山ほどの桃の木があるのだ。それはもう飽きるほどに。 寝てる間に食べられたのはちょっと癪だけど、わざわざ怒ることもない。 しかしすぐに取ってこれると言う言葉にゆっくりたちは目敏く反応する。 「ゆっくり取ってきてね!!」「むきゅ、ゆっくりまってるね!」 「ゆっくりはやくもってきてね!!」「やさしいおねえさんはゆっくりできるね!」 やはりうるさかった。相手をするのも面倒なので「あー、はいはい」とあしらうとその場を立ち去ろうとした。 その時いつも持ってる瓢箪、酒が無限に湧く瓢箪が手元に無いことに気がついた。 「あれ? どこかにやったかな」 見回すが見つからない。 くるりと回って後ろも見る。あった。 ただし瓢箪の周りにもたくさんのゆっくりが群がっていて 「次はれいむの番だよ!!」「ちがうよ!まりさの番だよ!!」 瓢箪の口から湧く酒を奪い合っていた。中にはすっかり出来上がったものもいて、地面にぺにょーんとだらけたゆっくりもいた。 「そんなとこにあったのか。ほら、返してもらうよ」 萃香は特に気にする様子もないし、特に怒りもしないで瓢箪をゆっくりの群れから取り上げる。 「ゆっ!! つぎはまりさの番だよ! 取らないでね!!」 「ゆっくり返してね!!」「それはゆっくりたちがみつけたものだよ!!」 生意気な事を言ってるけど萃香は無視した。こいつらと問答しても聞かないだろうから。 しかしゆっくり達は続ける。 「ゆっくりできないならそれを置いてでてってね!!」 「ちちちーんぽっ!」「むきゅむきゅむっきゅ~ん!!」 「どろぼうはでてってね!!」 萃香を罵倒しながら体当たりしてくる。ゆっくり達は酔っていて普段よりぷにぷにボディなので衝撃はほぼ0だ。 ここまでされると流石の萃香もいらついた。 なんでただの饅頭如きにこの鬼である私が攻撃を受けてやらないといけないのか。 「いい加減やめなさい。お前たち達が私に敵うわけないよ」 萃香は妖気を発しながら威圧するように話しかける。普通はこれで大抵の妖怪や妖精は震えて逃げ出す。 しかしゆっくりは萃香の想像より遥かに下回る鈍感さをもっていた。 「みんなでかかれば倒せるよ!!」 「ゆっくりしんでね!!」「ゆっくりたおれてね!!」 体当たりしてくるゆっくりが増えてきた。ここら一帯に集まっていたゆっくりが萃香を取り囲んで攻撃する。 反撃しない萃香をみて体当たりが効いてるとでも思っているのだろうか。 舐められたものだ。 そう言えば霊夢も神社の食料を求めて集まるこいつらの相手にはうんざりのようだった。 そしてここは神社の裏、霊夢のためにも灸を据えてやることにした。 「身の程を教えてあげた方がいいようだねぇ。この鬼の力、特別に見せてあげるよ」 萃香はスペルカードを発動する。 萃符「戸隠山投げ」 萃香の能力で周囲の石や岩を萃(あつ)めて敵へぶん投げる豪快な技だ。 ただし今回萃めるのはゆっくり達だ。 3mほど宙を浮かんだ萃香の右手に妖力が集中する。そしてその右手に向って辺りの空気が吸い込まれていく。 「ゆゆーっ!?」「すいこまれるよー、わからないよー」 「ゆっくりできないよ!やめてね!!」「むぎゅぅぅ」 事態を把握できないゆっくり達が萃香の右手の先に為すすべなく萃められていく。 全部で50近くいたそれはものの数秒で直径2mぐらいの饅頭の塊になった。 恐らく中央付近のゆっくりはすでに潰れて餡子と皮だけの存在になっているだろう。 「そらっ、技はまだこれからだよ!」 萃香は腕をぐるぐる回す。これからゆっくり達の塊を投げるための勢いづけだ。 「ゆ”ーー!!」「ゆ”っぐりでぎない”~!!」 「まわずのゆ”っぐりじでぇぇ!!」 塊の外側にいるゆっくりはまだ話せるようで悲鳴を上げる。 「ゆっくりしたい? ならゆっくりさせてあげるよ」 この時萃香は自分が楽しんでいることを感じた。 こいつらの悲鳴を聞いてると何とも言えない気持ちになるのだ。 このまま地面に勢いよく叩きつけたらどんな反応を示すだろう。 それを早く見たくなった萃香はいつもより本気でゆっくり達の塊を地面に向けて投げ付けた。 ゆっくり達が投げられたことを認識するよりも前にゆっくりの塊が地面に激突する。 「ゆ”べっ!!」「ぅ”あ”!!」 途端に弾ける大量の餡子。そして断末魔。 ゆっくり達の塊のうち、4/5は一瞬にして餡子と化した。 なんとか形を保っているのは地面に激突したのと逆側にいた残り1/5のゆっくりだった。 それでも激突した衝撃が伝わって驚愕の表情のまま絶命しているものがほとんどだった。 「ちょっとやりすぎたみたいだねぇ」 そう言う萃香だったがその顔は綻んでいた。 「ゆっ、ゆ”」「あ”あ”あ”」 苦しそうな声を出すゆっくり達。だがその数はたったの四匹。ゆっくり霊夢一匹とゆっくり魔理沙の二匹、ゆっくり橙が一匹だ。 しかし焦点が合わないもの、皮が破れて餡子が他の死んだゆっくりたちの餡子の湖に流れ出ているもの、 舌が取れてしゃべれないもの、嘔吐しているものと無傷のものなど一匹もいない。 萃香はそのうち二匹を天界へ持っていくことにした。他の二匹はおそらくこのまま死ぬだろうからほうっておく。 天界の一角に萃香は現在住んでいた。天人の娘と闘って得た場所だ。 一面に花が咲き誇り、天敵となるものもいない。楽園と呼ぶにふさわしい場所だったが萃香にとっては少し退屈だった。 そこで今回生き残った二匹のゆっくり、れいむとまりさを飼って退屈を紛らわせる道具にしようと考えていた。 死にかけのゆっくりに桃をしぼって与えると少し元気を取り戻したようだ。 目立った外傷もないようだし後は放っておけば治るだろう。 「さて、今度こそ神社に遊びに行くかねぇ」 萃香はいくつかの桃をゆっくり達の周りに置くと、桃をもって再び神社へと遊びに行った。 翌朝 萃香は天界へ再び戻ってきた。 ゆっくり達は治ったかなと思いながら見に行くと、それはもう元気に跳ねまわっていた。 ゆっくり達は萃香を見ると元気に挨拶する。 「「ゆっくりしていってね!!」 萃香は少し驚いた。自分に何の恐れも抱いてないとは。 まあゆっくりは記憶容量が小さいのだ。きっと昨日のは忘れたのだろう。 「おねえさんれいむたちのおうちに何の用?」 「いっしょにゆっくり出来る??」 さらに萃香の場所を自分の場所だと主張する。 困ったものだ。これはお仕置きしないといけないな。 萃香に芽生えたSな感情がふつふつと湧き上がる。 「何か勘違いしてるみたいだねぇ。ここはお前たちのおうちじゃないよ」 「ちがうよ!! れいむとまりさのおうちだよ!!」 「ゆっくりできない人はゆっくりでていってね!!」 「そうかい。口で言って分からないなら体で覚えてもらうしかないねぇ」 昨日と同じようにゆっくり達を自らの腕へと萃める。 「ゆっ!?」 この吸い込まれる感覚は味わったことがある。なんだっけ? 確か昨日こんなことがあったような。 「!! や、やめてね!!」 「あ”あ”あ”!! ゆっぐりざせでぇ!!」 ゆっくり達は思い出す。この吸い込まれる感覚。その後起きた惨劇。 「さて、この後はどうなると思う」 萃香は今にでも投げるぞと示すように腕をくるくる回す。 「やめてえぇぇ!! まわざないでぇ!!」 「ごめんなざいぃぃ!!!」 命乞いの声に何かが満たされるのを感じた萃香はさらに続ける。 「何がごめんなさいなのか言ってごらん?」 「わだじだちがわるがったよ”おぉぉぉ!!」「ゆるじでぇぇぇ!!」 「じゃあここは誰のおうちだい?」 「れ”いむだちのおうぢぃぃ!!」 「まだ分からないのか。じゃあ投げるよ!!」 「「お”、お”ねえざんのおうぢでずうぅぅ!!」」 「分かったなら降ろしてあげる」 ぽとりと地面にゆっくりを落とす。目が回ったのかフラフラしている。 さてここで終えるのも勿体ない。もっとゆっくり達が自分を恐れる声を聞きたかった。 攻撃をすると簡単に潰れるからできない。楽しめないから。 どうしたものかと考えた結果、瓢箪から出る酒を使うことにした。 「ほら、元気が出る飲み物をあげるよ。口を開けな」 「ゆっ!飲み物! 欲しいよ!!」 「ゆっくり飲ませてね!!」 目が回ってフラフラしていたのはどこへやら。一瞬で元気になりぴょんぴょん跳ねておねだりを始める。 「じゃあ口を開けて並びな」 二匹は言葉に従って並ぶと、口を大きく開けてこっちを見上げてくる。 「ゆっくりはやく飲ませてね!!」 「はいはい、すぐ飲ませるよ」 昨日のは甘い桃の酒。 しかし今回は酒豪の萃香も満足できるほどの強い酒だ。こいつらには刺激が強いだろう。 瓢箪からゆっくりの口へと酒が流し込まれる。次の瞬間ゆっくりの顔が固まる。 急いでもう一方のゆっくりにも飲ませる。 「ゆ”ばばばびぃ!!」「がふっがふっ」 今までにない反応だ。これは楽しい。 ゆっくり達は口の中の燃えるような感覚に転げまわった。 「大袈裟だねぇ。でもおいしいだろ?」 「お”いじっ、ぐない”ぃ!!」 「がら”っ、い”の、い”や”、だよ”おぉ!!」 涙を流しながら萃香を睨めつける。 「ゆっぐりあやまってね!!」「ひどいおねえさんとはゆっくりできないよ!!」 「なに、これからゆっくり出来るよ。体がポカポカしてきたろ?」 「ゆ?」 言われてみると確かに体がポカポカしてきていた。それになんだかゆっくりした気分になってくる。 そう言えば昨日も甘い味のする水を飲んだときも同じようにゆっくりした気分になった。 もちろんこれはお酒を飲んだからなのだが、ゆっくり達には不思議だった。 「おねえさん、ゆっくりできるよ!!」「ぽかぽかー!!」 「それはよかった。ならもっと飲むかい?」 笑顔でゆっくり達に酒を勧める萃香だったが、その眼は観察をする眼だった。 ゆっくり達は隠された悪意に気付かない。今はとにかく不思議な水をもっと飲みたかった。 「ゆっくりのませてね!!!」「でもからくないのにしてね!!!」 「ふふっ、いいよ。辛くない酒だね」 今度は瓢箪から甘いお酒を出す。しかしアルコール度数は高い。 萃香はゆっくり達を限界まで酔わせてみようとしていた。 「「ごーく、ごーく、しあわせー!!」」 それから十分近くゆっくり達にお酒を飲ませ続けていた。 明らかに体積より多く飲ませているが、まだ飲んでいた。 「さて、そろそろいいかな」 ゆっくりの様子を見て萃香は二匹に酒を与えるのを止める。 「ゆ~? もっろのませれよぉ」 「まだのめるよ! もっとのませてね!!」 ゆっくり魔理沙はべろべろに酔っ払って舌が回らないうえ、見るからにふらふらで右へふらふら左へふらふら揺れていた。 それに対してゆっくり霊夢は比較的まともだ。 しかしこれはお酒の強さとは関係がない。 萃香はゆっくり魔理沙に与える酒だけ強いお酒、ゆっくり霊夢には1%程度のお酒とも言えない程度のお酒を飲ませ続けていたのだ。 「な~にひてんのぉ!! まりふぁはもっろのめるぉ!!」 「その前にいいことしてあげるよ」 萃香はゆっくり魔理沙を後ろから両手で抱えるとゆっくりと揺さぶる。 以前、人形遣いがゆっくりにやっていたことの真似ごとだ。 ゆっくり達はこうやって揺さぶってやると発情するらしい。普段なら。 しかし泥酔状態の今ならどうか。 萃香自身は酒で潰れないので体感的には分からない。 だが前に神社で宴会をしたときに見たからどうなるか大体知っている。 珍しく酔っ払った霊夢を悪ふざけで揺さぶったら…いや、言うまい。 あの後しばらく霊夢は口を利いてくれなかった。 ともかくだ。酔っぱらった状態で頭を揺さぶるとひどいことになる。 ゆっくり魔理沙も揺さぶられて、性と酔いの二重の快感に酔いしれていた。 しかし少しずつ、いや急激にそれは込み上げてくる。 口をだらしなく開けていたゆっくり魔理沙が「うぐっ」と言ううめき声とともに口を必死に閉じる。 絶えず襲ってくる吐き気。 「んぐっ、むぐっ」 頬を中心にゆっくり魔理沙が膨らんでくる。吐いてしまうのを必死で耐える。 とても苦しいのだろう。涙が滝のように流れている。 「ゆっくりできるでしょ。ほらほら、もっと揺さぶってあげるよ」 「んむぐぅぅぅ!!」 ゆっくり魔理沙は「ゆっくりできないよ! すぐにやめてね!!」と言いたいがそれはできない。 口を開けたら途端に中身を吐き出してしまうだろうから。 しかしいくら吐き気を我慢しても萃香は揺さぶる手を止めない。 我慢の限界ももうすぐそこだ。 その時ゆっくり霊夢はと言うと呑気に 「まりさばかりゆっくりさせてもらってずるいよ!! れいむもゆっくりさせてね!!」 ゆっくり魔理沙が苦しんでいるというのに酔ったゆっくり霊夢はそれに気付かない。 ゆっくり霊夢は早くゆっくり魔理沙と代わって欲しくて萃香の周りをぐるぐると飛び回る。 萃香はゆっくり魔理沙に耳打ちする。もちろんゆっくり霊夢に聞こえぬように。 「お前のお友達はひどいね。苦しんでるお前を助けようともしない」 「んぐ~~!!」 お前が苦しめてるんだ。と萃香に避難の目を向けるゆっくり魔理沙だったが、 確かにゆっくり霊夢は自分を助けようとしない。それどころかぴょんぴょん跳ねてゆっくりしている。 ゆっくり魔理沙は絶望してしまった。そして絶望が諦めを誘発した。 「ぅごぇえぇぇぇぇぇぇ!!! お”べええええええ!!!」」 逆流する餡子に耐えきれず、ゆっくり魔理沙は餡子を吐いてしまう。 それは半端な勢いじゃない。明らかに生きるのに必要な分の餡子まで出してしまうほどだ。 美しい天界の花畑を汚らしい餡子がびちゃびちゃと汚していく。 汚したのはそれだけではない。 萃香の周りを跳ねまわっていた霊夢にもそれはかかってしまう。 「あ”あ”あ”! なにこれぇぇ!!?」 「ははは! 友達の餡子だよ。ほら、すごい勢いだよ?」 ゆっくり魔理沙から吐き出される餡子をさらもゆっくり霊夢へと浴びせる。 「や”、や”めで~~! ま”り”ざがしんじゃうよおお!!」 「そうだねぇ。このままだと死ぬかもねぇ」 そう言って未だ吐き続けるゆっくり魔理沙を地面へと置く。 「ほら、餡子を戻してやらないと死ぬよ?」 「がほっ、げぼっ、じに、だぐな”い、おげっ」 吐きながらも死にたくないと訴える友達をゆっくり霊夢は放っておけるわけがない。 ゆっくり霊夢は餡子まみれになりながらも、吐き出された餡子を自らの口に含んでゆっくり魔理沙に 口移ししようとする。 しかし、口移ししたそばからそれ以上の量の餡子が吐き出されるのだから意味がない。 「まりざぁ、あんこを飲んでよぉぉ!! しんだらゆっくりできない”よぉ!!」 だがゆっくり魔理沙は答えない。答えられない。 すでに瞳に光はなく、口から出るのは餡子だけだ。 「まりさぁぁぁ!! あんこをのんでぇぇぇぇぇ!!」 ゆっくり霊夢はバカの一つ覚えのように餡子をゆっくり魔理沙の口へと運び続けていた。 何度かそれを続けるとようやくゆっくり魔理沙が餡子を飲み込んだ。 「ゆっ!」 ゆっくり霊夢はこれでまりさが回復すると希望を持てたのだろう。 「もっとのんでね!! あんこいっぱい戻したらまた一緒にゆっくりしようね!!」 次々と餡子をゆっくり魔理沙の口へと運び続ける。その動きはさっきよりずっと生き生きしていた。 萃香はその様子をずっと見続ける。その顔には満足が浮かんでいた。 (これは確かに面白いねぇ。あの人形遣いや氷の妖精なんかが熱心になる理由がよく分かる) ゆっくり魔理沙はとっくに死んでいた。餡子を体に詰めなおしたところで生き返りっこない。 萃香はそれも分からずに回復するかもと、希望にすがるゆっくり霊夢をニヤニヤ眺めていた。 ゆっくり霊夢が二度とまりさが動かないと理解したのは、半日も経ってからだった。 ゆっくり霊夢はぴくりとも動かなかった。 まりさが死んだことを理解したくないのに死んだことを理解してしまったゆっくり霊夢は、何も考えたくないと現実から逃避してしまっていた。 「あーあ、こんなになっちゃったらもうつまらないや」 反応がないと虐めがいがない。萃香はゆっくり霊夢を掴むと神社へ遊びに行くことにした。 (このゆっくりは霊夢と一緒に食べるとしよう) そして帰りにゆっくり達を調達しよう。 次は何してみようか、何をさせたら面白ういだろう。 この先のことを考えると楽しくて仕方がない萃香であった。 終
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ずっと考えていた。 ゆっくりフラン、ゆっくりれみりゃを繁殖させるにはどうしたらいいのだろう? 事の発端はこうだ。 俺はゆっくりが大好きで、家でゆっくりれいむ、魔理沙たちにゆっくりアリスをけしかけて繁殖しては、食べたりつねったり沈めたりごちそうを与えてすぐに奪ったり思い切り蹴飛ばしたりしていた。 俺の行動一つで表情が極端に変わり絶叫するゆっくりが可愛くて仕方なかった。 とくにお気に入りなのがゆっくりれみりゃことゆっくりゃだ。しかしこのゆっくりゃは紅魔館付近でないと見つけられない貴重種。命がけで紅魔館に侵入し手に入れたこの一匹が、俺のそばにいる唯一のゆっくりゃだった。 「うー! うー!」 もちろん大事にしている。 他のゆっくり以上に、千切って食べたりつねったり沈めてみたりごちそうを与えてすぐに奪ったり思い切り蹴飛ばしたりして可愛がった。比率でいうと、他のゆっくりが1ならゆっくりゃは10だろう。とくにいくら千切っても再生してくる肉まんの生地は最高だ。 「も゛うやめでー!!」 ああ、可愛いな泣き顔。 そんな風にゆっくり達を可愛がりながら過ごしていたある日。 発情したゆっくりアリスがゆっくりゃに襲いかかっていた。 「れっ、れっ、れみりゃっ!」 「お゛、お゛う゛ち゛か゛え゛し゛て゛ー!」 思わず、手荷物を床に落としてしまう。 普通なら襲われてもゆっくりゃは飛び立ち、そのまま返り討ちだろう。 しかし今のゆっくりゃには羽がなかった。正確にいうと昨日俺が千切ってまだ再生しきっていなかった。 飛べないゆっくりゃはただのゆっくり肉まんだ。不意を突かれたらどうしようもない。 なんでだ……なんでゆっくりアリスがここにいるんだ……ちゃんとドアに鍵を閉めて隔離しておいた筈だぞ……。 「ゆ、ゆっくり! ゆっくりぃぃぃっ!」 「い゙い゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!」 呆然とする俺の前で痙攣するゆっくりアリス。普段の声からは想像できない絶叫を上げるゆっくりゃ。ゆっくりゃは絶叫も可愛いな……。 とりあえず落ち着こうと、痙攣してゆっくりしているアリスを鷲づかみで持ち上げ、そのまま串に刺し、火で炙ることにした。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ! あ゙づい゙よ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙っ!」 やっぱり冷静になるには甘味が一番だよな。 甘露、甘露。美味しかった。 どうにか冷静には慣れたが、現実の重さが俺を押しつぶそうとする。 ゆっくりゃは目を見開き、口を開いたままぴくりとも動かない。絶叫を上げたまま逝ってしまっていた。 ああ、ゆっくりゃ……俺の唯一のゆっくりゃが……。 また紅魔館に侵入するしかないのか……。 がっくりと項垂れながら動かないゆっくりゃに手を伸ばす。 あらためてゆっくりゃを見ようとそのまま持ち上げた時、ふと疑問が浮かび上がった。 「……なんで茎が生えないんだ?」 普通ゆっくりは、繁殖が終わると母体の体から茎が生えてきて、そこへ実をつけるように赤ん坊のゆっくりが生まれてくるものだ。少なくとも家で試したゆっくりはそうだった。 しかしれみちゃの体には茎なんて生えてくる様子がまるでない。仮にも繁殖行為だったのだから、何か生えてきてもおかしくない筈だ。 「……」 ゆっくりれみりゃは希少種だ。他のゆっくりに比べて非常に数が少ない。 それはもしや、繁殖方法が特別だから……? 湧き出てきた疑問をきっかけに、俺の頭は回転し始める。 頭へ栄養をまわそうと、手に持っていたゆっくりゃを丸呑しながら、俺は考えを巡らせていった。肉まん美味しいです。 夜も耽り、辺りが真っ暗になった頃。 草むらで音が立たないように忍び足で進みながら、俺は紅魔館の庭を歩いていた。 結局いくら考えても実際に試さないと埒が明かないものだ。まずは色々試してみよう。 ちなみに探しているのはゆっくりゃともう一匹、ゆっくりフランことゆフランだ。 下手にゆっくりゃで実験し、またすぐにゆっくりゃを失うのは困る。まずはゆフランで実験し、それからゆっくりゃだ。 二匹を捕まえるのは一見大変に思えるが、実はゆっくりゃを捕まえたらゆフランは釣られて出てくるのだ。前回ゆっくりゃを捕まえた時がそうだった。あの時はせっかく捕まえたゆっくりゃを食われそうで焦ったが、おかげでゆフランの対処法はわかっている。 だからゆっくりゃさえ見つけてしまえば話は早いんだが……。 「うー! うー!」 ……噂をすればなんとやら。 声に反応して振り向くと、にこやかに笑っているゆっくりゃがいた。口にあんこがついているので餌にありつけたばかりだったのだろう。 それにしても……可愛いな。 満腹そうな顔が可愛くて思わず蹴り飛ばしたくなる衝動を必死で堪えた。さすがにこれまでの苦労を一蹴りで水の泡にするわけにはいかない。 俺は忍び足を止めて、そのまま自然にゆっくりゃへと近づいていった。 「う?」 こっちへ顔を向けるゆっくりゃ。 近づいてくる俺に気がつくと、嬉しそうに近づいてきた。 「がぁおー。たーべちゃ~うぞ~!」 他のゆっくり達ならこの言葉に恐怖するだろうが、俺からするとまたじゃれついてきたなと思う程度だ。 紅魔館のゆっくりゃは可愛がられた結果、人慣れしすぎたのか、人を見つけるとそのまま無防備に近づいてくるのだ。 だからゆっくりゃさえ見つけてしまえば、後は近づいていってそのまま手で捕まえてしまえばいい。 「うー! うー!」 知らない人の手で掴まれているのに、遊んでくれると思っているのか喜び始めるゆっくりゃ。 さて、あとは……。 がさがさっと、木の枝が揺れる音がした。 「うあ!」 腕の中のゆっくりゃが声を上げる。近づいてきているモノがなんなのか、本能的に理解しているのだろう。 ゆフランはゆっくりゃに気がつくと飛び立ち、そのまま一直線にこちらへと向かってくる。その際に羽が木の枝に当たって音がするので、どこから鳴ったかさえしっかり聞いていれば飛んでくる方向は分かるのだ。 ギョロりとした目をゆっくりゃに向けて、勢いよく正面から突っ込んでくるゆフラン。 「うあ! うあ!」 だから、こうして勢いよく近づいて来た所を── 「ゆっくりしね!!!」 「断る」 撃退すればいい。 俺のかかと落としをまともに喰らい、ゆフランは地面にめり込んだ。 後頭部にはくっきりとかかとの跡が残っている。 あ、拙い、微妙に餡が出た。ちょっと強くしすぎたか……。 ゆフランの回復力を信じて、痙攣したままのゆフランを持ち上げ、持ってきたかごの中に放り込んだ。 「うー! うー!」 痙攣するゆフランを見ながらはしゃぐゆっくりゃ。はしゃぐのは良いけど、あまり暴れられると羽が体に当たって……。 「ぎゃおー!」 ……ん? ゆフランの入っているかごに向かって叫ぶゆっくりゃ。これは……? 「ぎゃおー! たーべちゃうぞー!」 ……。 ……もしかして勝ち誇ってるのか、これは? ゆっくりゃは何もしてないのに? 「ぎゃおー!」 叫んでいる意図に気づいた瞬間、反射的にゆっくりゃの顔に拳をぶち込んだ。 ……あ。し、しまった。つい勝ち誇ってる顔を泣き顔にしたくて……。 「う……」 ヤバイ、可愛い! じゃなくて! 「うわああああ!」 大声で泣き始めるゆっくりゃ。この声でまたゆフランが近づいてくる筈だが、泣き声が大きすぎて枝の音が聞こえない。不意を突かれたらそのままゆっくりゃを食べられてしまう。自分で自分の身を危険にしてどうするんだこの愛玩饅頭! ええぃ! 落ち着けおれ! こういう時こそこれだ! 俺は懐からホッチキスを取り出し、ゆっくりゃの口を塞いだ。 「……! ……!」 愛くるしい顔になったねっ! 途端、四方八方から聞こえてくる物音。 多いし! そんなにいらないのに! ……ええぃ、やったらーーっ! 泣き顔のゆっくりゃを脇に抱え、俺は飛んでくるゆフラン達と対峙した。 数時間後。 ようやく家に帰ってきたと腰を下ろす俺、同時に地面へ置かれたかごの中にはゆフラン達がぎっしりと詰まっている。元々少なめに考えていたので明らかに許容量を超えているが、全員がぐったりしているので無理矢理詰め込む事ができた。 ゆっくりの中で危険な種とはいえ結局は饅頭、押したら潰れるものだ。 「うー? うー?」 突然、紅魔館から別の場所に連れてこられ、不安そうにゆっくりゃが声を上げている。 ……さすがにここで泣かたり、暴れられるのは困るので。 俺は大きく息を吸った。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ!」 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっくりしようよっ!」 俺の声に反応して、隠れていたゆっくりれいむが3匹出てきた。普段は帰ってきたら何匹かは近づいてくるのだけど、今日は連れてきたゆっくりがゆっくりなので隠れていたのだろう。それでも声に反応するのがやっぱりゆっくりだが。 あ、1匹親れいむだ。あれは食い出があるぞーっ。 途端、ゆっくりゃの表情は輝き、れいむ達の表情は凍り付いた。 「がぁおー! たべちゃうぞー!」 「やーっ!」 「ゆっくり出ていってねっ!」 逃げるれいむに追いかけるゆっくりゃ。今の内にドアに鍵をかけて……と。 さて、それじゃ早速試してみるか。 俺はかごから一匹ゆフランを取り出す。丸い顔が変形し四角くなっていた。これはこれで可愛いな。 とりあえず手でこねるように形を丸くしてみた。 「ぁ゙っ、ぁ゙ぁ゙っ」 あれ? なんだ、意識あったのか。てっきりまだ戻ってないと思っていたんだが。 それじゃ回復を待つ必要はないな。 俺は両手で羽を持ち、そのまま思い切り毟り取った。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!」 途端、普段から見開いた目をより見開き、さっきとは比べものにならない大きさの声を上げるゆフラン。 初めてゆフランの絶叫を聞いたけど……これはこれで甘美だなぁ。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ! ざぐや゙ー! どごー!」 泣き叫ぶゆフランに、俺は魔法の言葉をかけてみた。 「これからたくさんゆっくりのいる場所に行くんだけど、来るかい?」 「……うー?」 興味深そうにこっちを見る。いいなぁこの変わり身の早さ。これからゆっくりは可愛い。 「ゆフランのためにたくさんのゆっくりを用意しておいたんだ、食べにいかないかい?」 「……う~♪」 泣いた饅頭がもう笑った。あとはこっちのものだ。 「それじゃ連れて行ってあげるよ」 そのままゆフランを抱えて、移動する俺。「うー♪ ゆっくりしね!」とはしゃぐゆフラン。その目はもういつもの通り瞳孔が開き、赤く輝いている。 やがてドアの前へ来ると、鍵を開け、ゆフランを中へと入れた。 気配が分かるのか、入った瞬間からゆフランは視線をあちこち移している。 「みんな怯えて隠れているかもしれないけど、ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっくりしね!」 飛び跳ねるゆフランにそう声をかけ、俺はドアを閉め、また鍵をかけ直した。ドアには窓がついているので開けなくても中の様子は伺える。 ゆフランは相変わらず、楽しそうにあちこち見ながら飛び跳ねていた。毟り取った羽はまだ回復していないが、背中についた跡はもう消えてしまいつつある。 実際、この部屋にはゆフランの期待通りゆっくりが大量にいた。ゆフランのお腹をいっぱいにするなら充分な量だろう。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「うー♪ ゆっくりしね!」 「フっ、フっ、フっ、フランっ!」 ただ俺は、今まで発情したゆっくりアリス10匹に勝ったゆっくりを知らない。 襲いかかってくるアリスに噛みつくゆフラン。その瞬間、残りの9匹に押しつぶされた。 「ゆっ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆっ!!」 「ゆっくり゛ぃぃぃぃっ!」 悶絶するゆフラン。おおっ、ゆフランってこんな顔で悶絶するのな。いつかゆっくりゃと一緒に悶絶させたいものだ。 どうにか振り解こうと抵抗するが、1匹を振り解いてもすぐに別の1匹が襲いかかり、かまわず交尾を続けていく。 次第にゆフランの動きは止まり、だだ悲鳴だけが響くようになっていった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛っ゛く゛ぅ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!」 「ゆ゛っ゛く゛り゛ぃぃし゛ぎね゛ぇえ゛え゛っ!」 ……そろそろ終わりそうだな。 「うー♪」 聞き覚えのある声に振り向くと、いつの間にかゆっくりゃがそこにいた。 口に大量のあんこをつけて。 「……美味かったか?」 「うーうー♪」 顔面を蹴り飛ばす。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」 やっぱり満足顔からの泣き顔が特に可愛いな。 結果として。 ゆフランには茎が生えてきた。 しかし生まれたのは1匹だけだった。 その1匹は、今、俺の手の中で遊んでいる。生まれたてで小さく、言葉も親ゆフランの「ゆっくりしね!」は言えず、ただただ「うー♪」と呻くだけだ。このまま丸呑みしたいな……。 しかし試しにと親れいむに子ゆフランを預けた所、その家族達を全部平らげてしまったので、小さいながらもやっぱりゆフランは違うというのを思い知らされた。 ここで問題なのは、子ゆフランを生んで親ゆフランは絶命してしまった事だ。以前、ゆっくりアリスに襲われたゆっくりゃのように朽ち果て、死んでいってしまった。 せっかく繁殖したのに一人の親で1匹では意味がない。そもそも他のゆっくりはだいたい4匹は繁殖していたのに、ゆフランだけ1匹なのはおかしいだろう。 一応、ゆっくりアリス以外のゆっくりも発情させて試してみたが、ほとんどの場合は子供は生まれず、ゆフランは最初のゆっくりゃのように絶叫したまま死んでしまった。 やっぱり繁殖の仕方が違うんだろうか……? そうして俺が悩んでいると、れいむが必死の形相でこっちに向かって来ていた。 「ゆっくりやめてね! ゆっくりさせてね!」 その後を追うように、ゆっくりゃが飛びながら追いかけている。 「がぁおー!」 ますます顔が涙で濡れるれいむ。しかし突然、目を輝かせて叫んだ。 「ゆっくり助けて! おじさんゆっくりさせて!」 どうやられいむは、俺に希望を求めたらしい。 「……」 そのまま足下へ駆け寄ってくるれいむ。このまま俺の後ろにでも隠れようと思っているのだろう。 ふむ……。 れいむをゆっくりゃに向けて蹴り飛ばした。 「ゆ゛っ!」 空を飛ぶれいむ。飛んでいく先では、口を大きく開き、ゆっくりゃがしっかりと待ちかまえていた。 「たーべじゃーうぞー!」 「ゆ゛っぐり゛ぃぃぃぃっ!」 にこやかにれいむを食べていくゆっくりゃ、凄く嬉しそうだ。 泣き顔もいいけど、たまには笑顔もね。……なんてな。 もちろんこれには事情があった。 この食べられているれいむ、実は隔離していたれいむと魔理沙が勝手に発情して作ってしまった子供なのだ。家の部屋にも限りがあるので繁殖する時もいろいろ考えて数を増やしているのに、勝手に増えたりすれば住めるスペースがなくなってしまう。 とりあえず親れいむと魔理沙はまだ生き残っているゆフランに食べてもらい、そして今、残りの子供達をこうしてゆっくりゃに食べてもらっていたのだ。 「んまんま♪ んまんま♪」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛っ!」 しかしいきなり部屋を覗いたら子供が増えていたのはびっくりした。俺の手で無理矢理揺らして発情させない限り交尾なんて滅多に行わないので油断していた。やれやれ。今度からはもうちょっと気をつけないとなぁ。 「んまーーーっ♪」 「ゆ゛っ゛ぐ゛り゛さ゛せ゛て゛ぇぇっ!!」 ……。 ……ん? そういえば……。 食事を済ませ、その辺りを楽しそうに飛び回るゆっくりゃ。その楽しげな様子に思わずバレーボールのようにたたき落としたくなるが、今の俺にはそれ以上に浮かんだ疑問が頭の中をしめていた。 ゆっくりゃって……。 「うー♪ ……う?」 もしかして、発情するのか? 気づけば、両手でしっかりとれみちゃを捕まえていた。 法悦とした様子だった。 「う゛っ……う゛っ」 どちらかといえば幼さの残るあどけない表情なゆっくりゃが、今はゆっくりアリスもびっくりなほど欲情した顔つきをしている。頬は赤くなり、口からはいつものあんこじゃなくよだれのような何かを垂らしていた。なんなんだこれ? 肉汁か? 自分の考えがあっていた事を喜びたい。……しかし疲れた腕はそれを許さず、ただ痙攣しているゆっくりゃをゆっくりと運ぶだけだった。 あれからゆっくりゃを抱え揺さぶり続けると確かに発情はした。しかし3時間振動させ続けてようやくだ。 他の種と違い、ゆっくりゃは性欲が薄いのか、軽く振動させただけではまるで反応はなく、暴れるゆっくりゃを押さえながら振動させ続けた結果、ようやく発情してくれた。おかげで腕は棒の用だが、必死で暴れるゆっくりゃがだんだん法悦としていく様子は俺の心に潤いを与えるには充分だ。 今のゆっくりゃはイキそうなところで揺らすのを止められ、触れたら暴発しそうなぐらいの興奮状態になっている。これから後の事がなければこのまま弄り回したいところだが、それは後に取っておこう。 もちろんこれから試すのは繁殖だ。しかし今までゆっくりアリスに襲わせて駄目だったものが、ゆっくりアリスを襲ってどうにかなるとは思えない。 ここはちょっと危険だが、賭けてみよう! ゆっくりゃをその部屋へ放つ。その部屋にはれいむのリボンや魔理沙の帽子や、ゆっくりアリスの食べカスが落ちている。 「……うー? ゆっくりしね!」 そこはゆフランの部屋だった。 無謀だと自分でも思う。 普通ならゆっくりゃはゆフランに食われて終わりだろう。そうなったらとてもとても悲しい気分になりながらゆフランを殴って泣き叫ばし、そのまま食べて落ち着こうと思うが、しかし発情したゆっくりゃならどうにかしてくれると、俺はどこかで期待していた。 「ゆっくりしね!」 大好物の登場に、ゆフランは赤い目をギロりと光らせながら近づいていく。 ゆっくりゃはピクリとも動かない。俺がまるで予想していなかった状況だ。睨まれた恐怖で竦んでしまったのだろうか? 口を開けて、食べる準備は万全なゆフラン。 そこで初めて、ゆっくりゃが動きをみせた。 「う゛……」 「う?」 まるで声も上げなかったゆっくりゃを不思議に思っていたのか、ゆっくりゃの上げた声にゆフランが反応する。 ゆっくりゃが続けて声にした。 「う゛……う゛ま゛せ゛て゛っ」 「ううっ!」 その時、始めてゆフランがゆっくりゃに対してたじろいだ。おおっ! スゲェ! 「う゛ま゛せ゛て゛ぇぇぇっ!」 「うーっ!!」 いつもと違う様子に慌てて逃げ出すゆフラン、それを上回る速度で追いかけていくゆっくりゃ。 その時によく見えたゆっくりゃの表情は、まるでゆフランのように目を見開き、赤く光っていた。 次第に追いつかれ、ゆフランはゆっくりゃに後ろから組み付かれた。 「ゆ、ゆっくりしね! ゆっくりしね!」 「う゛う゛う゛う゛っ!」 「ゆ゛っく゛り゛し゛ね゛ぇぇぇっ!」 どんどんゆっくりゃの体が激しく振動していく。 お互い、ゆっくりアリスに犯された時のように絶叫しながら、果てていった。 ドアの向こうで様子を見続ける。これが成功なら、後はゆフランに茎が生えて赤ん坊達が生まれてくる筈だ。 高まる期待。そんな俺の気持ちに合わせるかのように、ゆフランから茎が伸びてきた。 「きたきたきたきたぁーーーっ!」 思わずドアを開けて中に入る。 「うー♪ すっきり」 さっきまでゆフランのように変貌していたゆっくりゃは、何もなかったかのようにいつも通りの表情に戻っていた。 「う゛ー……う゛ー……」 「おぉっ! ゆフランも生きてる!」 今まで一度も生き残らなかったゆフランが生き残っている。俺は期待を一気に膨らませていった。この茎からたくさんの子ゆっくりゃが……!! そうして生まれてきた子供は。 ある意味、俺の期待を半分裏切ってくれた。 疲れた体を引きずりながら、部屋へと入っていく。 「あ、おじさん!」 「おかえり! おかえり!」 「ゆっくりしていってね!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 一気にわき上がるれいむの声。大量にいるゆっくりが一度に喋るから、後半はもうなんと言っているのか聞き取れない。 ここは俺がれいむを繁殖させていた部屋だが、他の部屋には移さずここでひたすら繁殖させていたために、気づけばどこを見てもゆっくりの顔があるぐらいぎゅうぎゅう詰めの状態になっていた。 「おじさん狭いよ、外に出してよ!」 「ゆっくりドアを開けてね!!」 ゆっくりしていってね!と言って間もなく、そんな要求をしてくるれいむ達。いつも餌を持ってきている俺に対しても、相変わらずの傍若無人っぷりだ。 「そうだな……今日はその事でいい報告をしに来たんだ」 「ゆ?」 「今日からは外に出て遊んでもいいぞ」 「ゆっ!」 れいむ達から驚きの声が上がる。無理もないだろう、今の今まで何があっても外には出るなと言い続けてきたのに、いきなり外に出てもいいと言われてたのだから。 「本当に? ゆっくりしてもいいの?」 「ああ、本当さ。外でゆっくりしてもいいんだよ」 「ゆっくり外に出るね!」 ゆっくり達が外に出られるようにと、まず仕切りになっていたシャッターの鍵を開け始める俺。こいつら全員を移動させるには、ここを開けるのが一番だろう。 「おじさん、ゆっくりいそいでね!」 「おそとであそんでね!」 「おじさん大好き! 早くあけてね!」 「分かった分かった」 鍵を開け、そのまま両手でしっかりとシャッターを掴む。 「それじゃ開けるぞー」 「早くゆっくりしてねっ!!」 「おそとであそばせてねっ!!」 「ゆっくりしないでねっ!!」 俺は渾身の力を込めて、シャッターを一番上まで開けた。 勢いよく飛び出していくれいむ達。 そして、ほとんどのれいむは硬直して動けなくなった。 「うー! うー!」 「ゆっくりしね!」 「ぎゃおー! たーべちゃうぞー!」 シャッターの向こうでは大量のゆっくりゆフランとゆっくりゃが待ちかまえていた。 「そいつらの向こう側に外へ出るドアがあるから、みんな頑張ろうー」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 いち早く反応した親れいむの絶叫を合図に、大混乱が始まった。 食べられ襲われ逃げまどい追いつかれる中で、俺は一人ドアを開けて部屋を出た。 廊下には机と椅子を用意してあり、座ったまま部屋の中を覗くための窓も ある。 この日のために用意した部屋での光景は、俺の気持ちを高ぶらせるには充分な光景だった。 子れいむはゆフランとゆっくりゃ、そして身内である筈のれいむからも噛みつかれあっという間にいなくなっていた。普通のれいむも食べていたのは、混乱の中で側にいたからとりあえず食ったのだろう。食べたれいむは笑顔のまま口を動かしている。あ、ゆフランに噛みつかれた。あはは、絶叫してるや。 親れいむは必死に子供たちを守ろうとするが、それが仇となって集中砲火を浴び、もはや中身の餡もほとんどない状態で床に倒れ、痙攣を繰り返していた。10匹を超えるゆっくりゃとゆフランに襲われてるなんてここでしか味わえないだろう。貴重な体験だったね。 そんな親れいむを見て子れいむが「お゛があ゛ざん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」と泣き叫んでいるがまるで反応はない。子れいむはそのまま泣き叫び、近くに来たゆっくりゃに食べられていった。 あの時、ゆフランの茎から生まれてきた赤ちゃんは4匹、ゆフランとゆっくりゃで2匹ずつの子供が生まれていた。 てっきり襲ったゆっくりゃの子供だけ生まれてくると思ったので最初はびっくりしたが、どうやらゆフランとゆっくりゃの組み合わせだとお互いの子供が生まれるらしく、ゆフランを欲情させてゆっくりゃを襲わせても、場所や時間を変えてみても変わらずお互いの子供が生まれてきた。 だがそれよりも、ゆフランもゆっくりゃも死ぬことなく繁殖を繰り返す事ができたのが大きかった。何度も何度も発情させて無事に生まれてくるのを確認した時、俺は喜びのあまり思わず生まれてきた赤ちゃんを全員そのまま食べてしまったぐらいだ。あんまんと肉まん美味しいです。 それにしても、この2匹が希少種になった理由もよくわかった。ただでさえ相手が少ないのに、ゆフランはさらにゆっくりゃを襲って食べてしまう。繁殖できる相手なのにお構いなしなのだ。これでは数は増えないだろう。 「あ゛あ゛あ゛あ゛っ! ゆ゛っぐり゛がま゛な゛い゛で!」 「うー♪」 部屋の中では子ゆフランが自分より大きなれいむを少しずつ食べて食べて消化していく。噛みつかれたれいむは、まるでシロアリに犯された柱のように徐々に削られ、穴が開いている。全部食べられるのも時間の問題だ。 そんな子ゆフランの横で、ゆっくりゃの側を離れずについていくゆっくりがいた。体は普通の大きさだが、他のゆっくり達が絶叫している中で、ひたすら楽しそうに笑っている。 それこそが子ゆっくりゃだった。 子ゆっくりゃは、他のゆっくりを食べるゆっくりゃの子供とは思えないぐらいに弱かった。 生まれたての割に体は大きいのだが、そのくせ子ゆっくりゃは赤ちゃんれいむにさえ勝てないぐらい弱いのだ。 それなのに目立つ体格なので他のゆっくりたちから狙われやすい。 生まれてから長い間、ゆっくりゃは子供の側から離れない事が多かった。まだ子供には自分を守れる力がないと分かっていてしっかり守っていたのだろう。 しかしそんな子ゆっくりゃは、こういう場所では足を引っ張る役目にしかならない。 「ゆっくりしねっ!!」 「う゛ーーーっ!」 守っていた親ゆっくりゃはゆフランに食い殺されてしまった。 そのまま子ゆっくりゃに近づいていくゆフラン。 「うー♪ うー♪」 しかし子ゆっくりゃはまるで状況を分かっていない。まるで遊んで欲しそうに手を伸ばして笑顔を向けようとする。それを見てゆフランの口が楽しそうにつり上がった。 結局、子ゆっくりゃが危険だと理解したのは、ゆフランに噛みつかれて餡を吸い出された瞬間だった。 「あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!」 叫んでみたものの抵抗らしい抵抗なんて出来はしない。そのまま吸い続けられ、全ての餡を全て吸い尽くされた。 まさか、ゆっくりゃの子供があんなに無力な存在だったなんて……素敵すぎる。 長い日をかけて準備してきたこの宴もそろそろ終わりが近づいてきた。やはり生き残っているほとんどはゆフランだが、れいむも僅かに生き残っている。 「ゆ……ゆ゛っく゛り゛ー! ゆ゛っく゛り゛し゛て゛ね゛ー!!」 部屋の隅に縮こまってガタガタと震えているが、もうお腹いっぱいになったのだろう。ゆフランもゆっくりゃも反応しなくなっている。 ゆっくりの色々な顔を見たくてやってみたこの宴だったが、俺的には大成功だった。あんな愛くるしい顔で絶叫されたり絶望に打ち震えたり恐怖に怯えたり嬉しそうにはしゃぎ回られる姿を大量に見られて俺はもうゲップが出そうだ。 「うー♪ うー♪」 「ん?」 向こうからとたとたと、ゆっくりゃが歩いてきた。他のゆっくりゃと違い、饅頭から体が生えており、羽より足を使って移動することが多くなったゆっくりゃだ。 このゆっくりゃは一番長生きしているゆっくりゃだ、どうもゆっくりゃは他のゆっくりとは違い徐々に成長して、立派な体が生えてくるらしい。このままさらに長生きさせたらどうなるんだろうな? ゆっくりゃは俺の周りを走り回っている。どうやら駆けっこをして楽しんでいるようだ。 足を引っかけて転がしてみた。 「えぐっ! ……うぅーっ」 涙目になるが、涙は流れない。こうやって何度も転けさせたせいでちょっと慣れたのだろう。凄い我慢している。 ゆっくりゃが泣くのを必死で耐えるなんて……。 そんな新しい反応で、俺をまた喜ばせてくれるのかい! 嬉しさのあまり身を悶えさせながら、俺はゆっくりゃの頬を引っぱたいた。 「うぅ、う゛あ゛ーーーーー!!」 泣き声が俺の全身を燻る。 ……今度はどうやってゆっくり達を愛そうかな? 明日のゆっくりに楽しみが止まらない俺だった。 by 762 このSSに感想を付ける
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畑がうるさいので見に行くと畑に来る小動物用に仕掛けていた罠に子ゆっくりが4匹捕まっていた。 れいむ種とまりさ種だ。この二種類は里に近いところに住んでいるのでよく見かける。 子ゆっくりはどうやら畑の作物を食べようとしていたらしい。 「ゆゆっ!でぐちがどこにもないよ!」 「さっきまではあったのに!」 「ここじゃそのうちゆっくりできなくなるよ!」 「だれかたちゅけちぇね!」 先ほどの騒ぎ声は罠に嵌り出れなくなった子ゆっくりのものだったようだ。 一匹は赤ちゃんか、赤ちゃんに良いとこ見せようとしたんだな。 罠をがたがたと揺らして逃げようとする姿をじっと見るのもいいがそうもいかない。 「ゆゆっ!だれかきちゃよ!」 「おじちゃんたすけてね!」 「れいむちがうよ!けがふさふさだからおにーさんだよ!」 「ゆっ!そうだね!おにーさんたすけてね!」 誰が仕掛けたと思ってるんだ。無視して罠を交換する。 出してもらえると思った子ゆっくりは早く出してねと俺を急かしている。 どうやら運が良かったようだ。 「ゆゆっ?おにーさんどうしたの?はやくしてね!」 「たかいところはこわいよ!はやくおろしてね!」 「入ってるのがゆっくりだけで良かったな。」 前に仕掛けていた罠はゆっくりといのししが一緒に入っていた。 そのため俺が気づいたときにはいのししが食い散らかしていた。 今回は掃除しなくてすみそうである。 「おにーさん早くだしt・・・ゆべべべべ!」 「ゆっぐぢでぎないいいいいいいいい!」 「おね゙ええええぢゃあああああああん!」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙!」 うるさいので箱を揺する。箱の中で跳ね回る子ゆっくり達。 面白いので縁側まで揺すってしまった。 死んでは無いだろうが餡子を吐かれては困る。 家につく前に飛んでいたうーぱっくを呼び寄せ、この子達の親を呼んできてもらう。 その後、近くに置いていた新聞を手早く広げ、そこにゆっくりを慎重に出していく。 「ゆ~、みんなぐりゅぐりゅ~」 「れいむにげないでね!」 「まりさこそにげないでね!」 「きもちわりゅいいいいい!」 まだ、餡子を吐くほどではなかったか。 それでも目を回した状態のゆっくりは跳ねようとして転がったり見当違いの場所に進んだりしている。 一匹吐きそうだったので口を押さえて背中を撫でてやる。 「口から出さずに飲み込め。」 「ゆぐぐぐggggゴックン」 どうせ餡子を吐くんだから飲んでも問題ないだろうと思ったのだが、苦しいのは苦しいらしい。 飲み込んでる間に立ち直った他のゆっくりが苦しんでる子ゆっくりに近づいてくる。 それを待ってからゆっくりに話しかけた。 「何で捕まってたか分かるか?」 「わからないよ!ゆっくりおしえてね!」 「それは君達が取ろうとしてたのは俺が育ててた野菜だからだ。」 「ゆぅ・・・でもれいむたちおなかすいてたんだよ!」 「ちゃんと柵作ってたんだけど小さいからすり抜けれたんだな。」 「いもーとだっておなかすいてたんだよ!」 「ひとのものをとっちゃだめって言われなかったかい?」 思い当たる節があるのか口を噤むれいむ達。 それでも一匹のれいむは納得できないようで、 「ゆぅうう・・・まりさ!このおにーさんはゆっくりできないよ!」 「でもおかーさんはひとのものとっちゃだめっていってたよ!」 「そんなのわすれちゃったよ!まりさはゆっくりしたくないの!」 「ゆゆっ!ゆっくりしたいよ!」 「じゃあおにーさんをたおせばいいんだよ!」 「そうだね!みんなねきょうりょくすればかてるね!」 ある程度は予想していたがこうも簡単に説得されるとは。 子供だから自分達の力を過信してるんだろうね。 ここで説得できずに反省して変えられても困ったので素直に用意してた小石を手に掴む。 「ゆゆっ!おにーさんまりさたちとやるきだね!」 「けがしてもしらないよ!」 「おねーしゃんがんばっちぇね!」 臨戦態勢に入った子ゆっくりが膨らんで威嚇してくる。 そのまま体当たりをしてくるのを避けて赤ちゃんれいむの頭上に腕を動かす。 「ゆゆ!?あかちゃんはやめてね!」 「かわりにまりさたちとしょうぶしてね!」 「あかちゃんはやくこっちにきてね!」 だがもう遅い。俺は掴んでいた小石を赤ちゃんの上に落とす。 「ゆ゙べべべっ・・・」 悲鳴を言っていた赤ちゃんも小石に埋まって見えなくなってしまった。 「ぎゃあああれいむのいもうとがあああああ!」 「ゆ!まだたすかるよ!ゆっくりこいしをどけてね!」 赤ちゃんゆっくりに落とした小石は頭上すれすれからだったので餡子を出していない。 それに気づいたまりさはれいむ達に声をかけ小石を取り除き始める。 れいむたちも小石を取り除き始めたので静かになった。 俺はと言うと小石を回収している。まだ使うからな。 とうとう赤ちゃんゆっくりの顔が見えた。 光が来たときうれしそうだった顔はたちまち涙を溜め始める。 「ゆうううごわがっだよおおおおおお!」 「もうだいじょうぶだからね!」 「あかちゃんはそこでゆっくりしててね!」 そういって周りの石も取り除き始める子ゆっくり。 それからしばらくして全部の小石を取り去った。 「おにーさんあかちゃんにらんぼうしないでね!」 「そうだよ!あかちゃんがかわいそうだよ!」 「先に仕掛けたのはお前達じゃないか。」 「ゆぅぅぅぅ・・・やるならまりさたちでね!」 「そうだよ!あかちゃんをねらうなんてひきょうだよ!」 「じゃあまりさにやろう。」 「ゆっ?」 そう言って今度は小石をまりさに落とした。 量を増やしたので赤ちゃんのように全部埋まる。 今度はまりさを助ける版だ。文句もそこそこにまりさを掘り出していく。 「おー赤ちゃんもがんばってるね。」 「うるさいよ!おにーさんはやくまりさをたすけてね!」 「君達は俺より強いんだろ?それなのに俺に頼っちゃだめじゃないか。」 「ゆうううう!じゃあ静かにしててね!」 そんなやり取りを繰り返しながらまりさを掘り出す。 まりさを掘り出したら同じようにれいむも埋めてやった。 「ゆぅ・・・おもがっだあああああ!」 「おに゙いさんも゙うやめ゙でえええええ!」 これ以上やると餡子が漏れそうだから止めてやる。 動かない俺を見て、安心したのか赤ちゃんを護るように集まる子ゆっくり。 「おにーさんはそこでゆっくりしていってね!」 小石で汚れた体を新聞に体を擦り付けたり、舐めあったりして汚れを取る。 しかし、全員分やるのを待つと昼になってしまう。 「おい、これで体綺麗にしろよ。」 「ゆゆっ?」 子ゆっくりの前に置いてやったのはお湯の入った皿だ。 ゆっくりは体の性質上、水を嫌うように見えるが汚れを取るためむしろよく水に入る。 泳げないゆっくりは沈んで水を飲みすぎて溶けるが、外皮は水に濡れても大丈夫である。 もちろん子ゆっくりも水浴びは好きなので仲良く一緒に飛び込んだ。 「ゆっくりし・・・あづいいいいいいい!」 「ここじゃゆっくりでぎないいいいい!」 「ゆぅうういちゃいよおおおおお!」 「だいじょうぶだよ!しばらくしたらなおるからね!」 はいってゆっくりするつもりだった子ゆっくりは余りの熱さにゆっくり出来なかったようだ。 赤ちゃんゆっくりはそこが赤くはれて涙目だ。火傷ではないがしばらく痛いだろう。 子まりさがそこを舐めてあやしている。子れいむは痛がりながら皿の水を眺める。 「ゆゆ?どーしいてあついのおおおお!」 「まえはいったときにはつめたかったよ!」 「おしおき中にゆっくりできると思ってたのかい?」 「ゆぅぅ・・・おにーさんのせいだね!」 「その通り。どうだすごいだろう?」 「ゆゆゆゆ・・・」 自分達がよく入る水がゆっくり出来ないものに変えられたのを知った子ゆっくりは眉間を寄せながら俺を睨む。 しかし、どうやって水が熱くなったのか分からない子ゆっくりは俺の力だと思ってさっきまでの用に歯向かう気はないようだ。 なべに入れて火で熱しただけなんだけどね。 怯えを含みだした子ゆっくりにどうしてお仕置きされているのかをもう一度教える。 「どうだ?人のものをとっちゃダメって理解できたか?」 「わかったけどそれじゃゆっくりできないよ!」 「そーだよ!それにうめられてこわかったよ!」 「おみずもあつかったよ!あかちゃんがけがしちゃった!」 「ゆっくちしたいよ!」 どうやら理解はしたが納得できないようだ。 すこしやりすぎたか。まぁもう少しで親が来るだろう。 それまでもう少し遊んでやることにした。 「じゃじゃーん。」 「ゆ?」 取り出したのは孫の手。背中を掻くときに重宝する棒だ。 「へんなかたちー!」 「おにーさんのてみたいだね!」 「そんなのこわくないよ!」 「ゆっゆっ!」 見たこともない棒を持った俺の周りを跳ねて思ったことを口にする子ゆっくりたち。 赤ちゃんゆっくりはまだ底が痛いのかすこし這ったりしている。 まずは赤ちゃんゆっくりからだな。 俺は孫の手を赤ちゃんを潰さないように圧し付けた。 「ゆびゅ!」 「れいむのあかぢゃんがああああああ!」 赤ちゃんの叫び声に気づいたれいむが一番に赤ちゃんに近づく。遅れて他のれいむとまりさもれいむを追う。 「ゆぎゅぅ・・・」 「もうだいじょうぶだよ!すぐにとってあげるからね!」 「ゆぐぐぐ・・・おもいいいい!」 「あかちゃんのためにゆっくりがんばってね!」 赤ちゃんの上から孫の手をどけようと咥えたり押したりとがんばる子ゆっくり。 だが子ゆっくりぐらいの力ならなんとか耐えれる。 孫の手をすこし動かしてやると「ゆぎゅ!」とか「ゆびゅ!」とか音が出るので面白い。 「おにーさんもうやてね!このままじゃあかちゃんがしんじゃうよ!」 「いじわるしないでね!やめてあげてね!」 「じゃあ次はおまえな。」 「でじゃびゅ!」 小石のときのように別のゆっくりも押さえつけていく。 今度はこっちに向かって体当たりしてくるのでデコピンで打ち落とす。 そんなやりとりを繰り返してるとうーぱっくが帰ってきた。 「うー!うー!」 「ありがとう。これはお代だ。」 「うー☆」 連れてきてくれたお礼に野菜をいくつか入れてやる。 飛び立ったうーぱっくのあとに残ったのは親と思われるゆっくりまりさだ。 子ゆっくりに向かう親まりさ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「おどおおおちゃあああん!」 「ゆっぐりでぎながっだよおおおお!」 「ゆぅううううううう!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 いきなり現れた親ゆっくりに向かって跳ねていく子ゆっくり。 さんざん遊んであげたからみんな涙目で喜んでいる。 そして、感動の対面のように親ゆっくりに飛び込む子ゆっくりを親ゆっくりはよけた。 「ゆびゅ!」 親が受け止めてくれると信じてた子ゆっくりはそろって地面に顔を打ち付ける。 「どおしてにんげんのさとにいったの!」 「ゆゆゆ!だっておいしいものが・・・」 「ひとのものをとっちゃだめっていってるでしょ!おぼえてなかったの!」 「ゆゆっ!ちゃんとおぼえてたよ!」 「じゃあやっちゃだめでしょ!あかちゃんがまねしちゃったじゃない!」 「ゆぅ・・・」 おー、怒られてる怒られてる。 説教はしばらく続きそうだな。今のうちに昼ごはんを食べることにするか。 親ゆっくりの後ろで昼用に作ったおにぎりをほおばる。 子ゆっくりも気づいたのか、こちらを見て涎をだしてる。 親ゆっくりの説教もどこ吹く風だ。 「ゆっ!ちゃんときいてるの!」 「ゆゆ!ちゃんときいてるよ!」 親ゆっくりにあわてて反応してるのが面白い。 傍目からも聞いていないのが分かるぐらいにおにぎりを見つめている子ゆっくり達。 遊びつかれてお腹が空いているのだろう。 そんなことは知らない親ゆっくりは怒りゲージが上がりまくりだ。 俺が最後のおにぎりを食べ終わる頃には、 「どお゙じでぎがな゙い゙の゜おおおおおおお!」 「おがあしゃんごめんなさいいいいいい!」 と、泣きながら子ゆっくりに体当たりしだした。 子供よりも大きい親ゆっくりの体当たりは強烈だ。 子供達は吹き飛ばされながら必死に許しを請う。 泣きながら説教を始めた親ゆっくりの話を今度はちゃんと聞いているのだろう。 子ゆっくりは涙を目に浮かべながら顔を俯けていた。 お茶を飲み一服していると説教が親ゆっくりがやってきた。 「おにーさんまりさのこどもがわるさをしました。ごめんなさい!」 「こっちはすっきりできたからもういいよ。」 「ううん。だめだよ!ちゃんととったぶんはたらくよ!」 「そうか、じゃあ一緒に畑仕事をしてもらおうか!」 「ゆっくりがんばるよ!」 昼からはゆっくり家族ともに畑仕事だ。 といってもゆっくりではやることが限られるので、とりあえず雑草を抜いてもらった。 俺の説明を聞いた親ゆっくりの指導のもの雑草を食べていく子ゆっくり達。 さっきまで何も食べていなかったのでむしゃむしゃと雑草を食べていく。 たまに野菜に手を出そうとする子ゆっくりもいたが、すぐに親ゆっくりの体当たりを受けて雑草に戻っていった。 雑草をあらかた取ると次は水遣りだ。 井戸水を俺がくみ上げてやりゆっくりが水を口に含みたぷんたぷんと野菜まで運ぶ。 野菜の根元に水をかけてまた戻ってくるの繰り返し。 途中で子れいむ同士がどれだけ水を含めるか競争しだして片方が崩れかけたので日にたっぷり照らされた石の上に置いて乾かしてやる。 じゅううううとおいしいそうな音を立てながら乾くゆっくりを放置して次の野菜の収穫に向かう。 一通り見回り取れそうな野菜を確認すると鋏を入れていく。 取れた野菜はゆっくりが乗せている箱の中に。 虫食いなどを確認しながら手際よく進める。 しばらくすると、 「おにいさんおも゙ぃ・・・」 「ゆぎゅうう・・・」 箱にいっぱいになる前にゆっくりがつぶれてしまいそうになっていた。 重くなると畑の外にある箱に移すようにと言って作業を続ける。 井戸近くで「あづいいいいいいい!」と言う叫び声が聞こえたが無視だ。 しばらくすると転げまわったのか泥だらけになった子れいむ戻ってきた。 もう動いても大丈夫なようだ。 そんなこんなで畑作業を夕暮れまで続けた。 途中で虫を追いかけた赤ちゃんゆっくりが穴にはまったり、用水路で帽子を洗っていたまりさが帽子を流されたりしたので途中から手伝いとはいえなくなっていたがそれでもいないよりははかどった。 井戸水で体を洗っているゆっくり家族のうち親ゆっくりだけを呼び出す。 「今日は良くがんばったな。」 「ゆっくりがんばったよ!これでまりさのこどもたちゆるしてくれるよね!」 「あぁ。ついでにこれもやろう。」 「ゆゆっ!おにーさんいいの!?」 「あぁお前は何もしてないからな。その分のお礼だ。これで今から餌取りに行かなくていいだろう。」 「おにーさんありがとう!」 俺が渡したのは収穫のときに虫食いがあったりで売れないものだ。 人は食べないだろうがゆっくりなら食べる。 巣にもどってから見せるようにと帽子の中に隠してやる。 洗い終わった子ゆっくりがやってきて、 「おにーさんやさいとってごめんなさい!」 「もうしません!」 「つぎからはきをつけるね!」 「ちがうところでゆっくちするよ!」 そうやって俺に謝って帰っていった。 これでもう野菜はとらないだろう。今回のことは十分記憶に残ったはずだ。 こうやって人里に入った子ゆっくりに人の強さを覚えこませてきた結果ゆっくりは人里で物を取ることはなくなった。 かといってゆっくりが人里に下りてこないわけではなく、先ほどのように人を手伝ったりして食べ物を貰ったりしている。 人とゆっくりは今ではそれなりにゆっくりと生活している。 このSSに感想を付ける